この記事は、紙やExcelの作業日報をkintoneに置き換えたい建設業の経営者、工事部門の責任者、事務担当の方に向けて書いています。結論から言うと、kintoneの日報アプリは「1日1現場1レコード」を基本単位にします。作業者と時間はテーブルで持ち、現場名は工事台帳アプリからルックアップで取得します。この形にすると、出面(人工)集計と月次締めまで一本でつながります。逆に、紙の日報の様式をそのまま画面にすると、入力は楽でも集計で行き詰まります。この記事を読むと、自社の日報をどの単位でレコードにするか、出面集計と工事台帳をどうつなぐか、現場の職人にスマートフォン入力を続けてもらう仕組みをどう作るかを判断できます。kintoneの機能に関する記述は、サイボウズ公式ヘルプを確認したうえで書いています。
この記事の要点
- 日報アプリは「1日1現場1レコード」を基本にし、作業者・作業時間・人工はテーブルフィールドで複数行入力します。
- 現場名・工事番号は工事台帳アプリからルックアップで取得し、工事台帳側には関連レコード一覧で日報を並べます。これで現場ごとの出面累計が見えます。
- 写真は添付ファイルフィールドに登録します。iOSのモバイルアプリではカメラで撮影した写真をそのまま添付できます。
- 月次締めは「日付」「現場」「作業者」を分類項目にしたグラフ機能と、プロセス管理の承認ステータスで組み立てます。
- 想定構成例として、職人8名・現場監督2名・事務1名の建設会社を想定した日報アプリと工事台帳アプリの構成を後半で示します。
日報をkintone化する目的を先に整理する
結論として、日報アプリの設計は「何のために日報を集めるのか」を1つか2つに絞ってから始めます。目的によって、1レコードの単位も必須項目も変わるからです。
建設業の日報には、次のように複数の目的が混ざっていることが多いです。
| 日報の目的 | 必要になる情報 | 設計への影響 |
|---|---|---|
| 出面(人工)の集計と請求・給与の根拠 | 日付、現場、作業者、作業時間、人工 | 作業者ごとの行が必要。テーブルで複数行を持つ |
| 工事原価の把握 | 現場(工事番号)、人工、材料、重機、外注 | 工事台帳アプリとのルックアップ連携が必要 |
| 進捗と安全の記録 | 作業内容、写真、KY活動、指摘事項 | 添付ファイルと文字列(複数行)が中心。承認フローを付ける |
| 元請けへの報告資料 | 日付、現場、作業内容、写真 | 印刷や書き出しのしやすさを優先する |
この記事では、建設業で最も多い「出面集計」と「工事原価の把握」を主目的にした設計を説明します。進捗と安全の記録は同じアプリに項目として足せますが、元請けごとに様式が違う報告書を自動で作る用途は、標準機能だけでは対応が難しいため、別の方法を検討する対象になります。
紙の日報をそのままkintoneに写して失敗する例は、建設業の日報アプリでよくある失敗の記事で詳しく扱っています。日報の目的を決める段階で一度目を通しておくと、設計の手戻りを減らせます。
日報アプリのフィールド設計表
結論として、日報アプリのフィールドは「レコード全体の情報」と「作業者ごとの情報」の2層に分けます。レコード全体の情報は日付や現場、天候など1日1現場で1つに決まるもの、作業者ごとの情報は氏名や作業時間などテーブルの各行に入るものです。
公式ヘルプでは、テーブルは入力内容に応じて行を追加・削除できる表形式のフィールドで、注文の明細や日ごとの活動報告のように複数の入力内容を一覧で管理する場面で使うものと説明されています。日報の作業者欄はまさにこの用途です。
| 項目名 | フィールド種類 | 層 | 用途・設定のポイント |
|---|---|---|---|
| 作業日 | 日付 | レコード全体 | 必須。初期値を「レコード登録時の日付」にする。グラフの大項目に使う |
| 工事番号 | ルックアップ | レコード全体 | 必須。工事台帳アプリを参照する。コピー元のフィールドは工事番号(文字列1行・重複禁止) |
| 現場名・元請け名 | 文字列(1行) | レコード全体 | ルックアップの「ほかのフィールドのコピー」で工事台帳から取得する |
| 天候 | ラジオボタン | レコード全体 | 晴・曇・雨・雪。中止理由の記録に使う |
| 報告者(現場監督) | ユーザー選択 | レコード全体 | 初期値をログインユーザーにする。プロセス管理の作業者やアクセス権の対象に使う |
| 作業内容 | 文字列(複数行) | レコード全体 | 自由記述。通知やアクセス権の条件には使えないため、判断に使う情報は選択式の項目に分ける |
| 作業者テーブル | テーブル | 作業者ごと | 以下4項目を1行にまとめる。公式ヘルプの目安は1テーブル10フィールド・100行まで |
| 作業者 | ユーザー選択またはドロップダウン | 作業者ごと(テーブル内) | 自社の職人はユーザー選択、協力会社の作業者はドロップダウンにする |
| 開始・終了時刻 | 時刻 | 作業者ごと(テーブル内) | 勤怠との突合に使う。省略して人工だけにする運用もある |
| 作業時間 | 計算 | 作業者ごと(テーブル内) | 終了時刻−開始時刻−休憩で自動計算する |
| 人工 | 数値 | 作業者ごと(テーブル内) | 1.0、0.5など。出面集計の元になる数値 |
| 合計人工 | 計算 | レコード全体 | テーブル内の人工をSUMで合計する。グラフの集計対象に使う |
| 写真 | 添付ファイル | レコード全体 | 複数ファイルを添付できる。画像はサムネイル表示される |
| 備考・指摘事項 | 文字列(複数行) | レコード全体 | 安全指摘や翌日の申し送りを書く |
| 承認ステータス | プロセス管理 | レコード全体 | 未提出→提出済→承認済。フィールドではなくプロセス管理の設定で持つ |
テーブルを使うときの制約
公式ヘルプでは、テーブル内に配置できないフィールドとして、ラベル、関連レコード一覧、スペース、罫線、グループ、テーブル、レコード番号、作成者、更新者、作成日時、更新日時が挙げられています。また、テーブル内のフィールドではルックアップ、関連レコード一覧、フィールドのアクセス権などの機能が使えない場合があるとされています。作業者の単価のように一部の人にだけ見せたい情報は、テーブルの中に置かず、別アプリで管理します。
一度テーブル化して保存したフィールドは、テーブルの外や別のテーブルへ移動できません。テーブルに入れる項目は、運用開始前に決めきっておく必要があります。
写真の扱い
公式ヘルプの制限値一覧では、添付ファイルは1ファイル1GBまでとされています。サムネイルが表示される画像は、サイズ10MB以内、5,000万画素以内で、形式はBMP、GIF、JPG、PNGです。レコード一覧画面では50×50ピクセルのサムネイルが表示されます。スマートフォンで撮影した写真は多くの場合この範囲に収まりますが、容量はディスク容量の消費に直結します。公式の料金ページによると、ディスク容量はライトコース・スタンダードコースともに5GB×ユーザー数です。写真を1日に何十枚も登録する運用なら、容量の推移を月次で確認しておく必要があります。
建設業向けの出面(人工)集計との関係
結論として、日報アプリは出面集計の「入力元」であり、出面台帳そのものではありません。日報のテーブルに入った作業者ごとの人工を、現場別・作業者別・月別に集計した結果が出面台帳になります。この関係を先に決めておかないと、日報と出面を二重に入力することになります。
理由は、建設業の出面には「現場に請求する人工」と「作業者に支払う人工」の2つの見方があり、同じ数値を別の軸で集計する必要があるからです。日報のテーブルに作業者と人工が行単位で入っていれば、kintoneのグラフ機能で両方の軸から集計できます。
日報から出面集計に必要な条件
- 作業者の表記が統一されていること。自社の職人はユーザー選択フィールド、協力会社の作業者はドロップダウンで固定します。自由入力は集計から外れます。
- 人工の単位が決まっていること。0.5人工を認めるか、残業を人工に換算するかを運用ルールにします。
- 現場が工事番号で特定されていること。ルックアップで工事台帳から取得すれば、現場名の表記ゆれは起きません。
- 1日1現場1レコードが守られていること。1人が午前と午後で現場を移動した場合は、現場ごとに2レコードにします。
出面の集計項目や締め日、協力会社の扱いなど、kintone化の前に決めておきたい項目は出面管理をkintone化する前に整理したい項目の記事にまとめています。日報アプリと出面の関係を決める前に、こちらで整理項目を確認してください。
勤怠管理と出面を分けるか、まとめるか
出面は「どの現場に何人工かかったか」、勤怠は「誰が何時間働いたか」を見るもので、集計の軸が違います。日報アプリで両方を兼ねる場合は、テーブルに開始・終了時刻と人工の両方を持たせます。一方で、勤怠に有給や休日出勤の扱いが絡む会社では、日報とは別に出面・勤怠専用の仕組みを持つほうが締め作業が単純になります。出面と勤怠を一体で扱う仕組みについては出面・勤怠管理システムの紹介ページで説明しています。
工事台帳アプリとの連携|ルックアップと関連レコード一覧
結論として、日報アプリと工事台帳アプリは「日報側がルックアップで工事台帳を参照し、工事台帳側が関連レコード一覧で日報を表示する」という双方向の設計にします。これで、現場監督は日報を書くときに現場を選ぶだけでよく、事務担当は工事台帳を開けばその現場の日報と人工の累計が見えます。
ルックアップの設定
公式ヘルプによると、ルックアップは、ほかのアプリのレコード情報を参照してデータを取得(コピー)するフィールドです。「関連付けるアプリ」に工事台帳アプリ、「コピー元のフィールド」に工事番号を指定します。コピー元に指定できるのは、文字列(1行)、数値、計算、リンク、ルックアップ、レコード番号のフィールドです。関連付けるアプリとコピー元のフィールドは一度保存すると変更できないため、工事台帳アプリを先に作り、工事番号のフィールドを「値の重複を禁止する」にしてから日報アプリを作ります。
「ほかのフィールドのコピー」で現場名、元請け名、工事担当者を日報側に取得しておくと、日報の一覧に現場名が並びます。「絞り込みの初期設定」で「工事ステータス=施工中」を条件にすると、完了した現場が取得ダイアログに出てこなくなり、選び間違いが減ります。
注意点として、公式ヘルプのFAQでは、ルックアップで参照しているアプリの値を変更しても、取得済みの値はそのまま維持されるとされています。工事台帳で現場名を直しても、過去の日報の現場名は自動では変わりません。更新するにはCSVファイルの読み込みで一括更新します。工事番号そのものは変えない運用にしておけば、この影響は現場名の表記だけにとどまります。
関連レコード一覧の設定
工事台帳アプリのフォームに関連レコード一覧フィールドを置き、「参照するアプリ」に日報アプリ、「表示するレコードの条件」に「工事台帳の工事番号=日報の工事番号」を指定します。「表示するフィールド」に作業日、報告者、合計人工、承認ステータスを選び、「レコードのソート」を作業日の降順にします。公式ヘルプでは、一度に表示する最大レコード数も設定できるとされています。
関連レコード一覧は一覧表示の機能であり、合計値を自動で出す機能ではありません。現場ごとの人工累計を数値として持ちたい場合は、グラフ機能で工事番号を分類項目にして集計するか、月次締めの時点で集計結果を工事台帳に手入力する運用にします。標準機能で自動的に累計を工事台帳へ書き戻すことはできないため、この点は設計の段階で割り切る必要があります。
工事台帳アプリ側の設計や、見積・実行予算・原価との関係は建設業向けkintone導入支援ページで全体像を説明しています。日報は工事台帳とセットで設計すると、原価管理まで一本でつながります。
スマホ入力を続けてもらう工夫
結論として、現場の職人や監督にスマートフォン入力を続けてもらうには、「必須項目を3つ以内にする」「選ぶだけで終わる項目を増やす」「入力した日報が自分の役に立つ場面を作る」の3つが必要です。機能を足すより、入力を減らすほうが定着に効きます。
理由は、現場での入力は移動中や休憩中の数分で行われるため、自由入力が多いと翌日にまとめて書く習慣に戻るからです。まとめ書きになると、時間や人工の精度が落ち、出面集計の根拠として使えなくなります。
入力画面の工夫
- 必須項目は作業日、工事番号、作業者テーブルの3つにします。作業内容や備考は任意にし、書けるときに書く形にします。
- 作業日の初期値をレコード登録時の日付、報告者の初期値をログインユーザーにして、入力を省きます。
- 天候や作業区分はラジオボタンやドロップダウンにし、文字を打つ場面を減らします。
- 写真はモバイルアプリから撮影して添付します。公式ヘルプによると、iOSのモバイルアプリでは写真ライブラリからの選択、カメラでの撮影、ファイルアプリからの選択で添付でき、添付前に切り取りや回転などの編集もできます。
- レコードの再利用機能で前日の日報を複製し、日付と人工だけ直す運用も有効です。同じ現場に同じ人員で入る日が多い会社では入力時間が大きく減ります。
運用の工夫
- 日報を書いた本人が見返す場面を作ります。「自分の今月の人工一覧」を作業者別の一覧として用意しておくと、給与明細の確認に使えます。
- 提出の締め切りを「当日中」ではなく「翌朝9時まで」にすると、帰宅後に落ち着いて入力できる人が増えます。
- 未提出の日報は、リマインダーの条件通知で報告者に知らせます。公式ヘルプによると、リマインダーは日付、日時、作成日時、更新日時のフィールドを基準に「○日前」「○日後」のタイミングで通知でき、条件は10件まで設定できます。
- 協力会社の作業者に直接入力してもらう場合は、ゲストスペースを使う方法があります。ただし、公式ヘルプではゲストユーザーはモバイルアプリを使えず、スマートフォンではWebブラウザーでアクセスするとされています。協力会社分は自社の監督が代理入力する運用のほうが、現実的に続くことが多いです。
集計・グラフ・月次締めの設計
結論として、月次締めは「承認済の日報だけを対象にしたグラフ」と「締め後に編集できなくするアクセス権」の2つで組み立てます。グラフは現場別、作業者別、日別の3種類を保存しておけば、出面台帳として必要な数字はそろいます。
グラフ機能で作る3つの集計
公式ヘルプによると、グラフ機能では分類する項目を大項目・中項目・小項目の3つまで設定でき、集計方法はレコード数、合計、平均、最大値、最小値から選べます。日付フィールドを分類項目にすると月単位で集計できます。また、閲覧権限のないレコードやフィールドは集計対象から外れます。
| 集計名 | 大項目 | 中項目 | 集計方法 | 絞り込み条件 | 用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| 現場別人工(月次) | 工事番号 | 作業日(月単位) | 合計人工の合計 | 承認ステータス=承認済 | 工事原価の労務費、元請けへの出面報告 |
| 作業者別人工(月次) | 作業者 | 作業日(月単位) | 人工の合計 | 承認ステータス=承認済 | 給与計算、協力会社への支払根拠 |
| 日別稼働状況 | 作業日(日単位) | 工事番号 | レコード数 | 当月 | 未提出日報の発見、現場の稼働日数の確認 |
作業者別の集計は、テーブル内の人工フィールドを集計対象にします。テーブル内のフィールドを分類項目や集計対象にできるかは、グラフの種類や設定によって扱いが変わるため、アプリを作った段階で実際のデータを数件入れて集計結果を確認してください。確認せずに運用を始めると、締め日に数字が合わない原因を探すことになります。
定期レポートで締め結果を残す
公式ヘルプによると、定期レポートは、アプリのデータを一定の間隔で自動集計し、その結果を記録する機能です。集計間隔は1時間ごと、毎日、毎週、毎月、毎四半期、毎年から選べ、結果は過去30回分まで保持されます。毎月の締め時点の集計を定期レポートに残しておけば、あとから日報が修正されても締め時点の数字を参照できます。注意点として、集計間隔は協定世界時で指定するため日本時間より9時間前の時刻を指定する必要があること、定期レポートを設定したグラフは編集や複製ができなくなること、クロス集計表には設定できないことが挙げられています。
締め後の編集を止めるアクセス権
月次締めが終わった日報を職人が後から直せると、出面と給与の数字が合わなくなります。公式ヘルプによると、レコードのアクセス権では「レコードの条件」を指定して、閲覧・編集・削除できるユーザーを絞れます。「承認ステータス=承認済」のレコードは事務担当だけが編集できる設定にし、それ以外のレコードは報告者が編集できる設定にします。複数の行がある場合は上の行が優先されるため、承認済の条件を上に置きます。
集計結果はファイルに書き出せるため、給与計算ソフトや元請けへの提出様式に転記する運用が組めます。kintoneの中で給与計算まで行う設計にはしないほうが、締め作業が単純に保てます。
プロセス管理での承認
結論として、日報の承認は「未提出→提出済→承認済」の3ステータスで始めます。差し戻しは「提出済」から「未提出」に戻すアクションで実現し、ステータスを増やしません。承認の段階を増やすほど、現場監督の負担が増え、承認待ちの日報が溜まります。
公式ヘルプによると、プロセス管理はアプリの設定画面の一般設定から有効にし、ステータスとプロセスを設定します。初期値のステータスは「未処理」「処理中」「完了」の3つで、名称の変更や追加・削除ができます。プロセスごとに、アクション実行前のステータス、作業者、アクションが実行できる条件、アクション名(ボタン名)、実行後のステータスを設定します。
作業者の設定
最初のプロセスの作業者は「作業者を設定しない」か「作成者」を選べます。2番目以降は「次のユーザーから作業者を選択」「次のユーザー全員」「次のユーザーのうち1人」から選び、ユーザー選択フィールドで指定することもできます。日報では、提出後の作業者を工事台帳からルックアップで取得した「工事担当者」のユーザー選択フィールドにすると、現場ごとの監督が自動で承認者になります。
注意点として、作業者にはレコードの閲覧権限が必要です。アクセス権で日報の閲覧を絞っている場合は、承認者が閲覧できる条件になっているかを確認します。また、プロセス管理を有効にする前に作られたレコードは最初のステータスになり、作業者は設定されません。
アクションが実行できる条件
公式ヘルプによると、アクションが実行できる条件を設定すると、条件が満たされるまで作業者にそのアクションのボタンが表示されません。「合計人工が0より大きい」を「提出する」ボタンの条件にすれば、作業者テーブルが空のまま提出される日報を防げます。条件には文字列(複数行)、リッチエディター、ラベル、添付ファイル、関連レコード一覧のフィールドは指定できないため、写真の有無を提出条件にすることはできません。
承認に合わせた通知
レコードの条件通知を使い、「承認ステータスが提出済になったら作業者(承認者)に通知」「承認済になったら事務担当に通知」を設定します。公式ヘルプによると、通知先には作成者、ユーザー選択フィールド、プロセス管理の作業者を指定でき、レコードを操作した本人には通知されません。承認者が1日に何十件も通知を受けるようなら、通知をやめて「自分が作業者の日報」一覧を朝に確認する運用に切り替えます。
想定構成例|職人8名・現場監督2名・事務1名の建設会社
ここからは、IHAがこの規模の会社から相談を受けた場合に提案する構成を、想定例として示します。実在の顧客事例ではなく、設計の考え方を具体的にするための想定構成例です。
想定する会社
- 従業員12名、うち職人8名、現場監督2名、事務1名が日報に関わる
- 同時に進む現場は5〜8件、協力会社の作業者が日によって数名入る
- 現状は紙の日報を監督が回収し、事務がExcelの出面表に転記している
- kintoneはスタンダードコースを想定する。公式の料金ページによると、スタンダードコースは1ユーザー月額1,800円(税抜)、ライトコースは月額1,000円(税抜)で、どちらも最低10ユーザーから契約できる。日報アプリ自体は標準機能で作れるためライトコースでも動くが、将来の帳票出力やプラグイン利用を見込んでスタンダードコースを想定している
料金やコースの機能差は改定されることがあるため、契約前に公式ページで確認してください。
アプリ構成
| アプリ | 1レコードの単位 | 主な入力者 | 主なフィールド | 設定する機能 |
|---|---|---|---|---|
| 工事台帳 | 工事1件 | 事務1名 | 工事番号(重複禁止)、現場名、元請け名、工事担当者(ユーザー選択)、工事ステータス、着工日、竣工予定日 | 関連レコード一覧(日報)、工事ステータス別の一覧 |
| 作業日報 | 1日1現場 | 現場監督2名(職人分を含めて入力) | 作業日、工事番号(ルックアップ)、現場名、天候、報告者、作業内容、作業者テーブル(作業者・人工)、合計人工、写真、備考 | プロセス管理3ステータス、条件通知、リマインダー、承認済レコードの編集制限、グラフ3種、定期レポート(毎月) |
| 協力会社マスタ | 協力会社1社 | 事務1名 | 会社名、担当者、連絡先、作業者名の一覧 | 日報の作業者ドロップダウンの選択肢を整備するための参照用 |
運用ルール
- 日報の入力は現場監督2名に集約します。職人8名は入力せず、監督が作業者テーブルに人工を入れます。職人全員にアカウントを配る前に、監督2名で運用を安定させる順番にします。
- 監督は現場を離れる前にスマートフォンから日報を登録し、写真を添付して「提出する」を押します。締め切りは翌朝9時です。
- もう1人の監督が相互に承認する形にし、承認者はルックアップで取得した工事担当者とします。
- 事務担当は毎月1日に「現場別人工」「作業者別人工」のグラフを確認し、定期レポートの結果と突き合わせてから、給与計算と元請けへの出面報告に使います。
- 締め後の修正は事務担当だけが行い、修正した場合は備考に理由を書きます。
この構成なら、日報アプリのフィールドは20前後、工事台帳は15前後で収まります。協力会社の作業者が多い会社では、協力会社マスタをルックアップの参照先にして作業者を選ぶ設計に拡張できますが、テーブル内ではルックアップが使えない場合があるため、その場合は作業者を1人1レコードにする設計への変更も含めて検討します。
よくある質問
1人の職人が1日に2つの現場に入った場合はどう記録しますか
現場ごとに日報レコードを分け、それぞれの作業者テーブルにその職人を0.5人工ずつ入れます。「1日1現場1レコード」を守ることで、現場別の集計が正しくなります。人工の端数をどこまで認めるかは、運用ルールで決めておきます。
職人全員にkintoneのアカウントが必要ですか
作業者テーブルの作業者をドロップダウンにすれば、アカウントのない人も作業者として記録できます。ただし、本人が自分の日報を入力・閲覧する場合はアカウントが必要です。公式の料金ページによると、ユーザー数に応じた月額料金がかかります。まず監督だけがアカウントを持ち、職人分は代理入力する形で始め、必要に応じて増やす順番をおすすめします。
紙の日報を写真で撮って添付するだけではだめですか
記録としては残りますが、人工の集計ができません。添付ファイルの内容は集計や通知の条件に使えないためです。出面集計を目的にするなら、作業者と人工はテーブルに数値で入力する必要があります。移行期間中に紙の写真を添付しつつ、数値も入力する二段構えにする方法はあります。
日報の内容を元請けに見せたい場合はどうしますか
ゲストスペースに共有用のアプリを作り、元請けの担当者をゲストとして招待する方法があります。公式ヘルプによると、ゲストは招待されたゲストスペースとそのスペースのアプリだけにアクセスでき、スペース外のアプリは見られません。ただし、ゲストスペースに作ったアプリは後から通常のスペースへ移動できず、ゲストユーザーには別途料金がかかります。日報アプリ本体を見せるのではなく、必要な項目だけを転記した共有用アプリを用意するか、集計結果をファイルに書き出して送る方法が現実的です。
Excelの出面表に過去分を入れています。kintoneに移せますか
作業日、工事番号、作業者、人工の列がそろっていれば、ファイルからの読み込みで移せます。公式ヘルプでは、Excelファイルは1MB・1,000行・500列まで、CSVファイルは100MB・10万行までとされています。テーブル内の行も読み込みの対象になります。ただし、テーブル内に添付ファイルフィールドがあるテーブルには読み込めないため、写真はテーブルの外に置きます。
まとめ
kintoneで日報アプリを作り、建設業の出面・工数・写真をまとめるときに決める項目は、次の5つです。
- 日報の目的を「出面集計」と「工事原価の把握」に絞り、1日1現場1レコードを基本単位にする
- 作業者と人工はテーブルで持ち、作業者はユーザー選択かドロップダウンにして表記を固定する
- 工事台帳アプリを先に作り、工事番号を重複禁止にしたうえで、日報側からルックアップ、工事台帳側から関連レコード一覧でつなぐ
- 必須項目を3つ以内にし、写真はモバイルアプリから撮影して添付する。未提出はリマインダーで知らせる
- 承認は3ステータスのプロセス管理で回し、承認済の日報だけをグラフで集計して、締め後は事務担当だけが編集できるようにする
ルックアップの値が自動更新されないこと、テーブル内で使えない機能があること、関連レコード一覧は合計を出さないことなど、kintoneの仕様を知ったうえで設計すれば、締め日に数字が合わないという事態の多くは防げます。この記事の設計表を使って、今の紙の日報のどの欄がどのフィールドになるかを書き出すところから始めてください。IHAでは、日報と出面、工事台帳をつないだ建設業向けのkintone設計から運用定着までを一緒に進めています。
この記事の確認情報
作成・公開責任: 株式会社IHA
情報確認日: 2026-11-03
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主な参照情報
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株式会社IHAは和歌山・大阪を中心に、kintoneの導入支援・アプリ開発・他社アプリの改修・Excelや紙管理からの移行を行っています。現在の管理方法(Excel、紙、既存のkintoneアプリ)をお知らせいただければ、設計の方向性と費用感を無料でお伝えします。
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