この記事の相談先

読みながら自社に当てはめたい方は、次のページからそのまま相談できます。

この記事は、Excelの顧客台帳をkintoneの顧客管理アプリに移そうと考えている中小企業の経営者、営業責任者、総務経理の方に向けて書いています。結論から言うと、kintoneでの顧客管理がうまくいくかどうかは、アプリを作り始める前の設計で決まります。具体的には「顧客・担当者・案件・対応履歴をどう分けるか」と「どの項目を重複禁止にするか」の2点です。Excelの列をそのまま1つのアプリに並べると、移行はできても運用が続きません。この記事を読むと、自社の顧客管理をkintoneに向く形に整理し直せるか、アプリを何本に分けるべきか、Excelから移す順番をどうするかを判断できます。kintoneの機能に関する記述は、サイボウズ公式ヘルプを確認したうえで書いています。

この記事の要点

  • 顧客管理のkintone化は「顧客マスタ」「担当者」「案件」「対応履歴」の4アプリに分けるのが基本です。Excelの1シートを1アプリにそのまま写さないことが重要です。
  • 顧客コードなど、重複を防ぎたい項目は文字列(1行)フィールドの「値の重複を禁止する」を使います。この設定をした項目は、ファイル読み込みの更新キーにも使えます。
  • Excelからの移行は、項目の棚卸し、表記ゆれの掃除、顧客マスタの先行投入、案件・履歴の後追い投入の順で進めます。
  • アクセス権は「レコードの条件」と「ユーザー選択フィールド」で担当者ごとに絞れます。通知は条件通知とリマインダーの2種類を使い分けます。
  • 想定構成例として、営業3名+事務1名の会社を想定した4アプリ構成を後半で示します。

顧客管理でkintoneに向く業務と向かない業務

結論として、kintoneは「誰が・いつ・どの顧客に・何をしたか」を複数人で記録し、共有する顧客管理に向いています。一方で、1人だけが使う名簿や、複雑な帳票レイアウトの印刷を主目的とする業務には向いていません。

理由は、kintoneのアプリが「1件の顧客=1レコード」という単位で情報を持ち、レコード同士をルックアップや関連レコード一覧でつなぐ仕組みになっているからです。この仕組みは、複数人が同時に更新する情報に強く、ExcelのようにファイルをメールやUSBで回す必要がなくなります。反面、Excelのように自由なセル配置や関数による帳票作成は得意ではありません。

自社の顧客管理がどちらに当たるかは、次の表で確認できます。

判断項目 kintoneに向く状態 kintoneに向かない状態
利用人数 2人以上が同じ台帳を更新する 1人だけが使い、共有の予定がない
記録の種類 顧客情報に加え、訪問・電話・見積などの履歴を残したい 住所と電話番号だけを一覧したい
検索の頻度 担当者別、業種別、最終接触日などで絞り込みたい 名前の五十音順で探せれば十分
外出先での利用 スマートフォンから履歴を入力したい 社内PCでしか使わない
帳票 一覧の書き出しや簡単な印刷で足りる Excelの複雑な帳票レイアウトをそのまま再現したい
他業務との連携 案件、見積、在庫、請求と顧客をつなぎたい 顧客名簿だけで完結している

向く状態が3つ以上当てはまるなら、kintone化を検討する価値があります。向かない状態が多い場合は、無理に移行せず、Excelのまま運用を続ける判断もあります。

なお、顧客管理は業種によって「顧客」の意味が変わります。製造業なら取引先企業、サービス業なら個人の利用者、建設業なら施主と元請けの両方です。業種ごとの考え方は業種別のkintone活用ページにまとめていますので、自社に近い業種から確認してください。

アプリ構成の決め方|顧客マスタ・担当者・案件・対応履歴の分け方

結論から言うと、顧客管理は4つのアプリに分けて作ります。1つのアプリにすべての列を詰め込むと、1社に複数の担当者がいる場合や、1社で複数の案件が動く場合に、行が重複して集計が狂います。

分ける理由は、kintoneの「ルックアップ」と「関連レコード一覧」という2つの機能にあります。ルックアップは、ほかのアプリのレコードを参照して値を取得(コピー)するフィールドです。関連付けるアプリは一度保存すると変更できないため、どのアプリを「元」にするかを先に決めておく必要があります。関連レコード一覧は、ほかのアプリのレコードのうち条件に一致するものを一覧表示するフィールドです。顧客マスタのレコードに、その顧客の案件や対応履歴を並べて見せる用途で使います。

アプリ名 1レコードの単位 主な役割 他アプリとの関係
顧客マスタ 取引先1社(または個人1名) 会社名、顧客コード、住所、業種、ランクなどの基本情報を一元管理する 担当者・案件・対応履歴からルックアップで参照される「元」のアプリ
担当者(先方担当者) 取引先の担当者1名 氏名、部署、役職、連絡先を管理する 顧客マスタをルックアップで参照する。1社に複数名を登録できる
案件 商談・見積1件 案件名、金額、確度、受注予定日、進捗ステータスを管理する 顧客マスタをルックアップで参照する。プロセス管理で進捗を回す
対応履歴 訪問・電話・メール1回 日付、対応種別、内容、次回アクションを記録する 顧客マスタと案件をルックアップで参照する。スマートフォンからの入力が中心

顧客マスタのレコード詳細画面には、関連レコード一覧フィールドを2つ置きます。1つは案件アプリ、もう1つは対応履歴アプリを参照し、「顧客コードが一致する」ことを表示条件にします。これで、顧客を開けばその会社の案件と履歴がまとめて見える状態になります。

会社の規模が小さく、先方担当者を分けるほどでない場合は、担当者アプリを省き、顧客マスタ内のテーブルフィールドに担当者を数行入力する方法もあります。ただし、公式ヘルプでは、テーブル内のフィールドではルックアップや関連レコード一覧、フィールドのアクセス権が使えない場合があるとされています。担当者単位で検索や通知をしたいなら、最初からアプリを分けるほうが後の変更が少なくて済みます。

なお、案件が受注に進んだあとに商品の出荷や在庫の引き当てがある業種では、案件アプリと在庫管理アプリをつなぐ設計も考えられます。在庫側の設計はkintoneでの在庫管理の記事で扱っていますが、顧客管理の段階では「案件アプリに商品コードを持たせておく」程度にとどめ、まず顧客と案件の運用を安定させることをおすすめします。

顧客マスタのフィールド設計|項目名・フィールド種類・用途

結論として、顧客マスタの項目は「検索や集計に使う項目」と「読むだけの項目」に分け、前者をドロップダウンや数値などの構造化されたフィールドにします。Excelでは自由入力だった「業種」や「ランク」を、kintoneでは選択式にすることが集計の前提になります。

理由は、kintoneのグラフ機能が、分類項目として指定したフィールドの値ごとにレコード数や合計を集計する仕組みだからです。自由入力のままでは「製造」「製造業」「メーカー」が別の分類として数えられます。

項目名 フィールド種類 用途・設定のポイント
顧客コード 文字列(1行) 必須。「値の重複を禁止する」を有効にする。他アプリからのルックアップのキーにする。重複禁止を使うと最大文字数は64文字までになる
会社名 文字列(1行) 必須。正式名称で登録する。「株式会社」の前後は入力ルールを決める
会社名カナ 文字列(1行) 検索と並び替え用。全角カタカナに統一する
業種 ドロップダウン 集計の分類項目に使う。選択肢は10前後に絞る
顧客ランク ラジオボタン A・B・Cなど3〜4段階。訪問頻度や通知条件に使う
郵便番号・住所 文字列(1行) 住所は都道府県を別のドロップダウンに分けると地域別集計ができる
電話番号・代表メール 文字列(1行)・リンク リンクフィールドはメールアドレスやURLをクリック可能にできる
自社担当者 ユーザー選択 レコードのアクセス権や通知先の指定に使う。退職時は一括更新で引き継ぐ
取引状況 ドロップダウン 見込み・取引中・休眠・取引終了。一覧の絞り込み条件にする
最終接触日 日付 リマインダー通知の基準日にする。対応履歴の登録時に手動で更新する運用にする
備考 文字列(複数行) 自由記述。通知条件やアクセス権の条件には使えないため、判断に使う情報はここに書かない
案件一覧 関連レコード一覧 案件アプリを参照し、顧客コードが一致するレコードを表示する
対応履歴一覧 関連レコード一覧 対応履歴アプリを参照し、日付の降順で表示する。一度に表示する最大件数を設定できる

公式ヘルプでは、1アプリに配置できるフィールド数は500個までとされていますが、顧客マスタで必要な項目は多くても30前後です。Excelにあった列を全部移すのではなく、「この1年で一度でも検索や集計に使ったか」を基準に残す項目を決めると、入力の負担が減ります。

案件アプリと対応履歴アプリのフィールド

案件アプリには、顧客コード(ルックアップ)、会社名(ルックアップのコピー先)、案件名、見積金額(数値)、受注確度(ドロップダウン)、受注予定日(日付)、担当者(ユーザー選択)、ステータス(プロセス管理)を置きます。ルックアップの「ほかのフィールドのコピー」で会社名を取得すると、案件一覧に会社名が並び、顧客マスタを開かなくても判別できます。

対応履歴アプリには、顧客コード(ルックアップ)、対応日(日付)、対応種別(ラジオボタン:訪問・電話・メール・来社)、対応内容(文字列・複数行)、次回アクション(文字列・1行)、次回予定日(日付)、添付ファイル(名刺や資料の写真)を置きます。スマートフォンからの入力を前提に、必須項目は対応日と対応種別、対応内容の3つにとどめます。

ここで1つ注意があります。ルックアップで取得した値は、参照元アプリの値が変わっても自動では更新されません。公式ヘルプのFAQでも、取得済みの値はそのまま維持され、更新するにはCSVファイルの読み込みで一括更新する方法が案内されています。会社名の変更が起きた場合は、顧客マスタを直したあとに案件と対応履歴のルックアップ値を更新する手順を、運用ルールとして決めておく必要があります。

Excel台帳から移行する手順

結論として、Excelからの移行は「項目の棚卸し」「表記の掃除」「顧客マスタの先行投入」「案件・履歴の後追い投入」「一覧と通知の設定」の5段階で進めます。いきなり全シートを読み込むと、重複顧客と表記ゆれがそのままkintoneに持ち込まれ、あとで直すほうが手間になります。

手順1:Excelの列を棚卸しする

今のExcel台帳の列を1列ずつ書き出し、「kintoneに移す」「移さない」「別アプリに移す」の3つに分けます。会社名の横に担当者名が3列並んでいる、備考欄に訪問日と内容が混ざっている、といった状態は、担当者アプリと対応履歴アプリに分ける対象です。この段階で、前の節のフィールド設計表に当てはめて、フィールド種類も決めます。

手順2:表記ゆれと重複を掃除する

Excel上で、会社名の「株式会社」の位置、全角半角、スペースの有無をそろえます。顧客コードがない台帳なら、ここで採番します。重複した行は1行に統合し、どちらの情報を正とするかを決めます。詳しくは次の節で扱います。

手順3:顧客マスタを先に読み込む

kintoneには、Excel(xlsx)やCSVファイルからレコードを一括で追加・更新する機能があります。公式ヘルプの制限値一覧では、Excelファイルは1MB・1,000行・500列まで、CSV・TSV・TXTファイルは100MB・10万行までとされています。顧客数が1,000社を超える場合はCSV形式に変換して読み込みます。読み込みには「ファイル読み込み」の権限が必要で、公式ヘルプでは読み込み前に既存レコードを書き出してバックアップすることが推奨されています。

読み込み時には「レコードの追加のみ」か「レコードの更新と追加」を選べます。更新と追加を選ぶ場合は「一括更新のキー」を指定します。キーに指定できるのはレコード番号、文字列(1行)、数値、日付、日時、リンクのフィールドで、レコード番号以外をキーにするときは「値の重複を禁止する」を有効にしておく必要があります。顧客コードを重複禁止にしておく理由はここにもあります。

手順4:案件と対応履歴を後から読み込む

顧客マスタが入ったあとに、案件と対応履歴を読み込みます。ルックアップフィールドにファイルから値を読み込む方法は公式FAQで案内されていますが、参照元アプリ側でキーの値が重複していると対象レコードを特定できず、更新されません。先に顧客マスタの重複を解消しておくのは、この制約を避けるためでもあります。

過去の対応履歴をすべて移すかどうかは、判断が分かれるところです。直近1〜2年分だけを移し、それより古い記録はExcelを参照用に残す方法が、移行作業の負担と検索のしやすさのバランスが取りやすい選択です。

手順5:一覧・通知・アクセス権を設定して並行運用する

読み込みが終わったら、「担当者別」「ランク別」「休眠顧客」などの一覧を作り、通知とアクセス権を設定します。最初の1か月はExcelとkintoneを並行して運用し、kintoneだけで業務が回ることを確認してからExcelの更新を止めます。移行全体の進め方と注意点はExcel・紙管理からkintoneへの移行支援ページで詳しく説明しています。また、移行前に確認しておきたい項目はkintone導入チェックリストにまとめています。

重複顧客・表記ゆれ対策

結論として、重複と表記ゆれは「kintoneの設定で防げるもの」と「運用ルールで防ぐもの」に分けて対策します。設定で防げるのは顧客コードの重複だけで、会社名のゆれは運用と選択式フィールドで防ぎます。

理由は、kintoneの「値の重複を禁止する」が文字列(1行)フィールドなどに設定できる一方で、「株式会社IHA」と「(株)IHA」のような表記の違いまでは判定できないからです。

設定で防ぐ:顧客コードの重複禁止

顧客コードの文字列(1行)フィールドで「値の重複を禁止する」を有効にすると、同じ値を持つレコードを複数登録できなくなります。公式ヘルプでは、この設定を使う場合は最大文字数を64文字以下にする必要があるとされています。顧客コードは英数字10桁程度にすれば問題ありません。

運用で防ぐ:登録前の検索と選択式フィールド

  • 新規登録の前に、会社名カナで検索するルールを決めます。カナを全角カタカナに統一しておくと、検索の取りこぼしが減ります。
  • 業種、取引状況、都道府県はドロップダウンにし、自由入力をなくします。
  • 「株式会社」は後ろに付ける、英字は半角にする、といった入力ルールを、フィールドの下に表示するラベルフィールドに書いておきます。
  • 月に1回、会社名カナで並べ替えた一覧を事務担当が確認し、似た名前が並んでいたら統合します。

重複が見つかったときの統合手順

重複した顧客レコードを見つけたら、残すレコードを1つ決め、もう一方に紐づいている案件と対応履歴のルックアップ値を残すレコードの顧客コードに付け替えます。付け替えは、対象レコードを絞り込んでCSVで書き出し、顧客コード列を修正して「レコードの更新と追加」で読み込む方法が確実です。付け替えが終わってから、不要なレコードを削除します。削除を先にすると、案件側に参照先のない顧客コードが残ります。

アクセス権と通知の設計

結論として、顧客管理のアクセス権は「全員が閲覧でき、担当者だけが編集できる」を基本にし、通知は「条件通知で登録・変更を知らせる」「リマインダーで放置を防ぐ」の2本立てにします。最初から細かく制限すると、営業同士で情報が見えなくなり、kintoneに移した意味が薄れます。

アクセス権:レコード単位の条件で担当者に編集を絞る

kintoneのアクセス権は、アプリ、レコード、フィールドの3階層で設定できます。顧客管理で使うのは主にレコードのアクセス権です。公式ヘルプによると、レコードのアクセス権では「レコードの条件」を指定し、ユーザー・組織・グループに加えて、フォームに配置したユーザー選択フィールドや作成者、更新者を対象に指定できます。設定は上の行が優先されるため、「自社担当者フィールドのユーザーに編集・削除を許可」を上に、「Everyoneに閲覧のみ」を下に置けば、担当者だけが編集できる状態になります。

注意点として、公式ヘルプでは、レコードの条件には文字列(複数行)、添付ファイル、関連レコード一覧などのフィールドを指定できないとされています。条件に使う項目はドロップダウンやユーザー選択で持っておく必要があります。また、閲覧権限だけがある場合でも添付ファイルはダウンロードできます。見積書などを他社に見せたくない場合は、添付ファイルフィールド自体にフィールドのアクセス権を設定します。

単価や原価など、営業担当には見せたくない項目がある場合は、フィールドのアクセス権で閲覧を制限します。ただし、公式ヘルプではテーブル内のフィールドにはアクセス権を設定できないとされているため、見せたくない項目はテーブルの外に置きます。

通知:条件通知とリマインダーの使い分け

レコードの条件通知は、フィールドの値が条件を満たすレコードが登録・編集されたときに通知する機能です。通知先にはユーザーのほか、作成者やユーザー選択フィールドを指定できます。「取引状況が休眠に変わったら自社担当者に通知」「受注確度がAになったら経営者に通知」といった使い方ができます。公式ヘルプの注意点として、レコードを操作した本人には通知されず、ExcelやCSVファイルで登録・更新した場合も通知されません。移行時の一括読み込みで大量の通知が飛ぶ心配はありませんが、逆に読み込みで変更した内容は通知で気づけないことを覚えておく必要があります。

リマインダーの条件通知は、日付や日時のフィールドを基準に「○日前」「○日後」のタイミングで通知する機能です。「最終接触日の90日後に自社担当者へ通知」と設定すれば、放置顧客への再アプローチを促せます。公式ヘルプでは、基準にできるのは日付、日時、作成日時、更新日時のフィールドで、条件は10件まで、1回の通知で対象になるのは最大500件とされています。顧客数が多い場合はランク別に設定を分けます。

想定構成例|営業3名+事務1名の会社

ここからは、IHAがこの規模の会社から相談を受けた場合に提案する構成を、想定例として示します。実在の顧客事例ではなく、設計の考え方を具体的にするための想定構成例です。

想定する会社

  • 従業員10名、営業3名、事務1名が顧客管理に関わる
  • 取引先は約400社、年間の案件数は約150件
  • 現状はExcelの顧客台帳1ファイルと、営業各自のメモで管理している
  • 契約するkintoneは、JavaScriptカスタマイズやプラグインを使わない前提でライトコースを想定する

サイボウズ公式の料金ページによると、ライトコースは1ユーザーあたり月額1,000円(税抜)、スタンダードコースは月額1,800円(税抜)で、どちらも最低10ユーザーからの契約です。ライトコースではJavaScript・CSSによるカスタマイズ、プラグイン、外部サービス連携が利用できません。アプリ数の上限はライトコースが200個、スタンダードコースが1,000個です。この想定例の構成は標準機能だけで作れるため、ライトコースで始め、見積書の自動作成など拡張機能が必要になった時点でスタンダードコースへ切り替える前提にしています。料金は改定されることがあるため、契約前に公式ページで確認してください。

アプリ構成

アプリ 主な入力者 主なフィールド 設定する機能
顧客マスタ 事務1名(新規登録・修正) 顧客コード、会社名、カナ、業種、ランク、自社担当者、取引状況、最終接触日 顧客コードの重複禁止、関連レコード一覧2つ、リマインダー(最終接触日の90日後)
担当者 営業3名 顧客コード(ルックアップ)、氏名、部署、役職、電話、メール 顧客マスタへのルックアップ
案件 営業3名 顧客コード(ルックアップ)、案件名、見積金額、受注確度、受注予定日、担当者 プロセス管理(見込み→提案中→受注/失注)、条件通知(確度Aで経営者へ)
対応履歴 営業3名(スマートフォン) 顧客コード(ルックアップ)、対応日、対応種別、内容、次回予定日、添付ファイル 必須項目を3つに限定、担当者別一覧

運用ルール

  • 新規顧客の登録は事務1名に集約し、営業は担当者と対応履歴だけを入力します。これで顧客マスタの表記ゆれを1人で管理できます。
  • 営業は訪問後にスマートフォンのkintoneモバイルアプリから対応履歴を入力します。公式ヘルプによると、iOSのモバイルアプリではカメラで撮影した写真をそのまま添付ファイルに登録できます。名刺や現場の写真はここに残します。
  • 案件のステータス変更はプロセス管理のアクションボタンで行い、「受注」に進めたときだけ金額の入力を必須にする条件を設定します。
  • 月初に事務担当が「取引状況=取引中かつ最終接触日が3か月以上前」の一覧を確認し、営業会議で共有します。
  • グラフ機能で「業種別の案件金額」「担当者別の受注件数」を保存し、営業会議の資料にします。公式ヘルプでは、分類項目は大項目・中項目・小項目の3つまで、集計方法はレコード数・合計・平均・最大値・最小値から選べるとされています。

この構成なら、アプリ4本、フィールド合計40前後で収まり、標準機能だけで運用できます。実際の設計では、業種や取引形態に合わせて項目を増減させます。

よくある質問

Excelの顧客台帳をそのまま1つのアプリにしてはいけませんか

登録はできますが、おすすめしません。1社に複数の担当者や案件がある場合、1レコードに収まらず、行を複製することになります。その結果、顧客数を数えると重複分が多く出るなど、集計が狂います。顧客マスタと案件・履歴を分けるのが基本です。

顧客数が1万社を超えても大丈夫ですか

公式ヘルプの制限値一覧では、1アプリに登録できるレコード数に上限はなく、アクセス権や絞り込みを設定していないアプリで100万件を登録した状態での動作が確認されているとされています。ただし、ファイル読み込みはCSVで1回10万行までのため、分割して読み込みます。

社外のパートナー企業にも顧客情報を見せたいのですが

kintoneにはゲストスペースという機能があり、kintoneのユーザーでない人をゲストとして招待できます。公式ヘルプによると、ゲストは招待されたゲストスペースとそのスペースに所属するアプリだけにアクセスでき、スペース外のアプリは見られません。ただし、ゲストスペースに作成したアプリは後から通常のスペースに移動できず、ゲストはモバイルアプリを使えずブラウザーでアクセスします。顧客マスタ本体を見せるのではなく、共有用のアプリをゲストスペース内に別途作る設計が安全です。ゲストユーザーには別途料金がかかります。

顧客マスタの会社名を直したら、案件アプリの会社名も変わりますか

自動では変わりません。公式ヘルプのFAQでは、ルックアップで取得済みの値は参照元を変更してもそのまま維持され、更新するにはCSVファイルの読み込みで一括更新する方法が案内されています。会社名の変更が起きたときの更新手順を、運用ルールに含めておいてください。

見積書や請求書の作成まで顧客管理アプリでできますか

標準機能では、レコードの印刷画面を使った簡易的な印刷になります。自社の様式に合わせた見積書を自動作成するには、プラグインや外部サービス連携が必要で、これらは公式の料金ページによるとスタンダードコースでのみ利用できます。まず顧客管理を標準機能で運用し、帳票が必要になった段階でコースと拡張方法を検討する順番をおすすめします。

まとめ

kintoneで顧客管理アプリを作るときに決める項目は、次の5つです。

  • 顧客マスタ・担当者・案件・対応履歴の4アプリに分け、顧客マスタを「元」にしてルックアップと関連レコード一覧でつなぐ
  • 顧客コードを文字列(1行)で持ち、「値の重複を禁止する」を有効にして、ルックアップのキーと一括更新のキーに使う
  • 業種・ランク・取引状況は選択式フィールドにし、集計と通知の条件に使えるようにする
  • Excelからの移行は、棚卸し、表記の掃除、顧客マスタの先行投入、案件・履歴の後追い投入、並行運用の順で進める
  • アクセス権は「全員閲覧・担当者編集」を基本に、通知は条件通知とリマインダーを使い分ける

ルックアップの値が自動更新されない点や、ライトコースで使えない機能など、kintoneの仕様を知ったうえで設計すれば、Excel台帳からの移行で起きる手戻りの多くは防げます。この記事で示した表を使って、自社の台帳の列をどのアプリのどのフィールドに移すかを書き出すところから始めてください。IHAでは、Excel台帳の棚卸しからアプリ設計、データ移行、運用定着までを一緒に進めています。

この記事の確認情報

作成・公開責任: 株式会社IHA
情報確認日: 2026-11-03

生成AIは構成と下書きの補助に使用し、公開前に出典・内部リンク・禁止表現を自動検査しています。個別の設定・料金・仕様は、必ず最新の公式情報もご確認ください。

主な参照情報

この記事の内容について相談する

株式会社IHAは和歌山・大阪を中心に、kintoneの導入支援・アプリ開発・他社アプリの改修・Excelや紙管理からの移行を行っています。現在の管理方法(Excel、紙、既存のkintoneアプリ)をお知らせいただければ、設計の方向性と費用感を無料でお伝えします。

見積提出案件の95%で他社見積より1〜5割の減額実績があります(当社集計・案件条件により異なります)。他社見積をお持ちの方は比較だけでもご利用ください。

フォームから相談する

    必須 ご相談内容

    kintone導入・開発についてkintone運用・他社アプリ改修についてAI活用についてWeb制作についてその他

    必須 氏名

    必須 メールアドレス

    任意会社名

    任意電話番号

    必須相談内容