在庫管理は、多くの企業にとって重要な業務でありながら、欠品や過剰在庫、手作業による入力ミスや確認の煩雑さなど、数々の課題を抱えがちです。 特に中小企業においては、これらの課題が経営効率や顧客満足度に直結することも少なくありません。このような背景の中、業務改善プラットフォームであるkintone(キントーン)が、在庫管理の新たな解決策として注目を集めています。kintoneの持つ柔軟なカスタマイズ性と拡張性は、各企業の固有なニーズに合わせた在庫管理システムの構築を可能にします。

1. kintoneで在庫管理は可能?基本機能と5つのメリットを解説

kintoneは、サイボウズ社が提供するクラウド型の業務改善プラットフォームです。 プログラミングの知識がなくても、自社の業務に合わせた様々なアプリケーション(以下、アプリ)を簡単に作成・カスタマイズできる点が大きな特徴です。在庫管理においても、kintoneはその柔軟性を活かし、データの一元管理、プロセスの可視化、そして関係者間でのスムーズな情報共有を実現する強力なツールとなり得ます。  

kintoneで在庫管理を行う5つの主要メリット

kintoneを在庫管理に活用することで、企業は以下のような多くの恩恵を受けることができます。

メリット1:リアルタイムな情報共有と可視化 kintoneの最大の強みの一つは、情報がリアルタイムに更新・共有されることです。紙やExcelでの管理では、どうしても情報の更新にタイムラグが生じたり、担当者しか最新状況を把握できないといった問題が発生しがちです。 しかしkintoneなら、在庫の入出庫データを入力すれば即座にシステムに反映され、関係者はいつでもどこでも、PCやスマートフォン、タブレットから最新の在庫状況を確認できます。 例えば、営業担当者が外出先から顧客に納期を回答する際も、社内の担当者に確認する手間なく、正確な在庫情報に基づいて迅速に対応できるようになります。 このリアルタイム性は、単に便利なだけでなく、顧客対応のスピードと質を向上させ、販売機会の損失を防ぐ上でも極めて重要です。  

メリット2:柔軟なカスタマイズ性 既製の在庫管理システムでは、機能や画面構成が固定化されており、自社の特殊な業務フローや管理項目に合わせることが難しい場合があります。 その点、kintoneは「業務をシステムに合わせる」のではなく、「システムを業務に合わせる」ことが可能です。プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップの簡単な操作で、自社に必要な項目を追加したり、画面レイアウトを変更したりと、柔軟にカスタマイズできます。 これにより、現場の担当者が本当に使いやすい、業務に即した在庫管理システムを構築できます。中小企業特有のユニークな業務プロセスにもフィットさせやすい点は、大きな利点と言えるでしょう。  

メリット3:低コストでの導入と運用 本格的な在庫管理システムやERP(統合基幹業務システム)パッケージは、導入に数百万円以上の初期費用がかかることも珍しくありません。kintoneは、月額数千円からのライセンス費用で利用開始でき、必要な機能に絞ってスモールスタートできるため、特に予算の限られる中小企業にとって導入のハードルが低いと言えます。 さらに、IT導入補助金の対象となるケースもあり、これを活用すれば実質的な負担をさらに軽減することも可能です。 Excel管理のようにソフトウェア費用がゼロであっても、属人化や入力ミスによるデータの不整合といった隠れたコストやリスクを考慮すると、kintoneによるシステム化は費用対効果の高い投資となり得ます。  

メリット4:他業務との連携と拡張性 kintoneのプラットフォームとしての強みは、在庫管理だけに留まらない拡張性にあります。例えば、在庫管理アプリと受発注管理アプリ、顧客管理アプリ、さらには生産管理アプリなどを連携させることで、販売から生産、在庫までを一気通貫で管理する統合的な業務システムを構築できます。 また、API連携や300種類以上提供されているプラグインを活用することで、会計システムやECサイト、外部の倉庫管理システム(WMS)など、既存のシステムや外部サービスとのデータ連携もスムーズに行えます。 これにより、企業全体の業務効率化とデータ活用を促進し、ビジネスの成長に合わせてシステムを柔軟に拡張していくことが可能です。  

メリット5:ペーパーレス化と業務効率化 従来の手書き台帳やExcelファイルによる在庫管理では、転記作業に伴う入力ミスや、集計作業の煩雑さが課題でした。 kintoneを導入することで、これらの手作業を大幅に削減し、ペーパーレス化を推進できます。例えば、棚卸業務では、タブレットなどから直接実在庫数を入力することで、紙への記入やその後のExcelへの転記作業が不要になります。 また、入出庫データを基にした在庫数の自動計算や、発注点管理による発注漏れの防止など、業務プロセスの自動化・効率化が図れます。 これにより、担当者は単純作業から解放され、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。  

標準機能でどこまでできる?

kintoneの標準機能だけでも、在庫管理の基本的な仕組みは構築可能です。具体的には、以下のような機能が利用できます。

  • 基本的な在庫数の記録と計算: 商品ごとの入庫数と出庫数を記録し、それらを基に現在の在庫数を自動計算するアプリを作成できます。 例えば、IF関数のような計算式フィールドを使えば、「入庫ならプラス、出庫ならマイナス」といったロジックで在庫数を算出できます。  
  • 商品マスタとの連携: 「商品マスタ」アプリを作成し、そこから商品名や商品コード、単価などの情報を「ルックアップ」機能で入出庫アプリに引用することで、入力の手間を省き、データの一貫性を保つことができます。 また、「関連レコード一覧」機能を使えば、商品マスタのレコードから、その商品に関連する入出庫の履歴を一覧で確認することも可能です。  
  • グラフ表示とレポート: 記録された在庫データを基に、在庫状況をグラフで可視化したり、簡単な集計レポートを作成したりすることができます。  
  • リマインダー通知: 特定の条件(例:在庫数が発注点を下回った場合など)を設定し、担当者に通知を送るリマインダー機能も活用できます。  

ただし、先入先出法(FIFO)や移動平均法といった複雑な在庫評価方法の自動計算、リアルタイムでの厳密な在庫引当、複数ユーザーによる同時編集時の排他制御といった高度な機能は、標準機能だけでは実現が難しい場合があります。 こうした要件がある場合は、後述するプラグインの活用やJavaScriptによるカスタマイズ、専門家への相談が必要になることを理解しておくことが重要です。  

2. kintoneで在庫管理システムを構築・運用する際の課題と対策

kintoneは在庫管理において多くのメリットを提供する一方で、導入・運用にあたってはいくつかの課題が生じる可能性もあります。これらの課題を事前に理解し、適切な対策を講じることが、システムを成功させるための鍵となります。

よくある課題

  • データ量の増加に伴うパフォーマンス低下: kintoneアプリに登録されるレコード数(商品マスタのアイテム数や日々の入出庫履歴など)が数十万件、数百万件と非常に多くなると、一覧表示の読み込み速度が遅くなったり、検索に時間がかかったりといったパフォーマンスの問題が発生することがあります。 特に、複雑な絞り込み条件やアクセス権設定が多数ある場合は、数万レコードでも影響が出始める可能性があります。 これは、特に長期間運用していく中で顕在化しやすい課題であり、初期の快適な操作性が損なわれる可能性があります。  
  • 複数ユーザーによる同時編集の制約: kintoneの標準機能では、複数のユーザーが同じレコード(例えば、特定商品の在庫情報)を同時に開いて編集し、ほぼ同時に保存しようとした場合、基本的に先に「保存」ボタンを押したユーザーの更新内容が有効となり、後から保存しようとしたユーザーにはエラーメッセージが表示されるか、意図しない上書きが発生する可能性があります。 在庫情報のように、複数の担当者がリアルタイムに近い形で更新を行う必要がある業務では、この制約が運用上の大きな課題となることがあります。  
  • 複雑な在庫評価や引当機能の実装: 先入先出法(FIFO)や後入先出法(LIFO)、移動平均法といった会計基準に基づいた在庫評価ロジックや、特定の注文に対して在庫を確保する「在庫引当」といった機能は、kintoneの標準機能だけでは簡単には実装できません。 これらの機能を実現するには、JavaScriptによる高度なカスタマイズや、専用のプラグイン導入、場合によっては外部システムとの連携が必要となり、追加のコストや開発期間が発生します。  
  • 専門知識の必要性: 基本的なアプリ作成はノーコードで行えるkintoneですが、より高度なカスタマイズ(JavaScript開発)、複雑なプラグイン連携、APIを利用した外部システム連携などを行おうとすると、kintoneのアーキテクチャや関連技術に関する専門知識が求められる場面が出てきます。 特に、在庫管理のような基幹業務に近いシステムを構築する場合、業務要件を正確にシステムに落とし込むための設計スキルも重要になります。社内にIT専門の担当者がいない場合、これらの高度な要求に対応するのは難しいかもしれません。  

課題解決のためのアプローチと注意点

上記の課題に対しては、以下のようなアプローチや対策が考えられます。

  • パフォーマンス対策:
    • アプリ分割: 大量のデータを一つのアプリで管理するのではなく、例えば「商品マスタアプリ」「入出庫履歴アプリ(当月分)」「入出庫履歴アーカイブアプリ(過去月分)」のように、データの性質や利用頻度に応じてアプリを分割することを検討します。 時系列(年度別、月別など)や拠点別、部門別といった分割方法が考えられます。  
    • データアーカイブ: 利用頻度の低い過去のトランザクションデータ(古い入出庫履歴など)は、定期的にCSVファイルなどにエクスポートしてkintone外で保管するか、参照専用のアーカイブアプリに移動させることで、稼働中のアプリのデータ量を抑制します。  
    • 表示設定の最適化: レコード一覧画面に表示するフィールド数を必要最小限に絞り込みます。特に、データ量の多いリッチエディターフィールドや多数の添付ファイルフィールドは、一覧画面での表示を避けることで表示速度の改善が期待できます。  
  • 同時編集対策:
    • 業務フローの見直し・運用ルール策定: 複数担当者が同時に同一商品の在庫レコードを更新する頻度を減らすような業務フローを検討します。例えば、入力作業の時間帯を分ける、担当者ごとに編集対象を割り当てるなどのルールを設けます。
    • アプリ設計の工夫: 在庫変動の入力を行う「入力用アプリ」と、最新在庫数を表示する「閲覧用アプリ」を分ける設計も有効です。 ユーザーは入力用アプリに個別のトランザクション(入庫1件、出庫1件など)を登録し、それらのデータが集計されて閲覧用アプリの在庫数に反映される形です。  
    • プロセス管理機能の活用: kintoneのプロセス管理機能を利用し、レコードが「編集中」のステータスにある間は他のユーザーが編集できないようにアクセス権と連動させる方法も考えられます。  
    • プラグインの利用: TIS社が提供する「レコード同時編集確認プラグイン」(無料)などを導入すると、他のユーザーが編集中である場合に警告メッセージを表示させることができます。  
  • 複雑な機能の実装:
    • 専用プラグインの導入: 在庫評価や高度な在庫引当、ロット管理など、特定の機能要件がある場合は、サードパーティ製の専用プラグインの導入を検討します。例えば、TIS社の在庫管理プラグインや、グレープシティ社のkrewData(データ集計・加工)、トヨクモ社のDataCollect(データ集計)などが、在庫管理に関連する機能を提供しています。  
    • kintone開発パートナーへの相談: 自社での開発が難しい場合は、kintoneの導入・開発実績が豊富なパートナー企業に相談し、カスタマイズ開発を依頼することも有効な手段です。  
  • 導入体制の整備:
    • 課題の明確化と現場ヒアリング: システム導入に着手する前に、現在の在庫管理業務における具体的な課題(欠品が多い、確認に時間がかかる、情報共有がスムーズでない等)を徹底的に洗い出し、実際にシステムを利用する現場担当者の意見を十分にヒアリングすることが不可欠です。  
    • 運用ルールの策定と教育: 新しいシステムを導入する際には、誰がいつ何を入力するのか、エラー発生時はどう対応するのかといった運用ルールを明確に定め、関係者全員に周知徹底するためのマニュアル作成や研修を実施する必要があります。  

これらの課題と対策を理解した上で、自社の状況に合わせてkintoneの導入計画を進めることが、失敗を防ぎ、効果を最大限に引き出すために重要です。

kintone在庫管理のメリット・デメリットと対策

メリットデメリット具体的な対策
リアルタイムな情報共有と可視化 --
柔軟なカスタマイズ性 高度なカスタマイズには専門知識が必要 プラグインの活用、シンプルな機能から開始し徐々に拡張、必要に応じて専門家へ相談
低コストでの導入と運用 大量データ運用や高度プラグイン利用で追加コストが発生する可能性アプリ設計の工夫によるデータ量抑制 、無料または低コストのプラグインから検討、IT導入補助金の活用
他業務との連携と拡張性 既存システムとの連携に開発が必要な場合があるAPI連携の知識習得、連携実績のあるプラグインやサービスの利用、kintoneパートナーへの相談
ペーパーレス化と業務効率化 導入初期の業務フロー変更に対する現場の抵抗導入目的とメリットの丁寧な説明、現場担当者を巻き込んだシステム設計、段階的な導入
場所を選ばないアクセス セキュリティ設定の不備による情報漏洩リスクkintoneのアクセス権設定の適切な運用、二要素認証の導入、社員へのセキュリティ教育
標準機能での基本的な在庫管理 標準機能だけでは複雑な在庫評価や厳密な引当に対応できない 専用プラグインの導入 (TIS在庫管理プラグイン、krewData等)、JavaScriptカスタマイズ
-複数ユーザーによる同時編集の制約 プロセス管理機能の活用、入力用・閲覧用アプリの分離、レコード同時編集確認プラグインの利用
-データ増加に伴うパフォーマンス低下リスク アプリ分割、データアーカイブ、一覧表示フィールドの最適化、定期的なデータメンテナンス

3. 【ステップ別】kintone在庫管理アプリの作り方ガイド

kintoneで効果的な在庫管理システムを構築するためには、核となる複数のアプリを連携させることが一般的です。ここでは、基本的な「商品マスタアプリ」「入庫管理アプリ」「出庫管理アプリ」「在庫管理(棚卸)アプリ」の4つのアプリ構成を例に、作成手順とフィールド設定のポイントを解説します。  

準備:必要な基本アプリ構成

まず、在庫管理システムの土台となる各アプリの役割を理解しましょう。

  • 商品マスタアプリ: 管理するすべての商品に関する基本情報(商品コード、商品名、単価、仕入先、発注点など)を登録・管理するアプリです。他のアプリがこのマスタ情報を参照することで、データの一貫性を保ち、入力ミスを防ぎます。  
  • 入庫管理アプリ: 商品の仕入れや工場からの完成品受け入れなど、在庫が増加するトランザクションを記録するアプリです。いつ、どの商品が、どれだけ入庫したかを管理します。  
  • 出庫管理アプリ: 商品の販売や社内での消費、原材料の払い出しなど、在庫が減少するトランザクションを記録するアプリです。いつ、どの商品が、どれだけ出庫したかを管理します。  
  • 在庫管理(棚卸)アプリ: 定期的な実地棚卸の結果を記録し、システム上の理論在庫と実在庫の差異を確認・調整するためのアプリです。在庫精度を維持するために不可欠です。  

これらのアプリを個別に作成し、ルックアップ機能や関連レコード一覧機能、さらにはプラグインを活用して連携させることで、効率的な在庫管理システムが実現します。このモジュール式の設計は、kintoneの得意とするところであり、将来的な機能追加や修正も比較的容易に行えるというメリットがあります。

  • 在庫数自動計算・集計:
    • TIS在庫管理プラグイン(無料): 商品マスタ、入庫管理、出庫管理アプリの情報を基に、商品ごとの現在庫数を自動で計算し、商品マスタアプリなどに表示します。また、予め設定した発注点を下回った場合にアラートを表示したり、簡単な在庫評価額を算出したりする機能も備えています。 このプラグインは無料で利用できるため、手軽に在庫計算を自動化したい場合に適しています。  
    • krewData(有料、グレープシティ社): 複数のkintoneアプリに散らばったデータを、プログラミングなしで集計・加工し、別のアプリに書き出すことができる強力なプラグインです。在庫管理においては、日々の入出庫データからリアルタイムに近い形で在庫数を集計・更新したり、複雑な条件での在庫分析レポートを作成したり、棚卸時の理論在庫と実在庫の突合・差異計算を自動化したりと、高度な処理を実現できます。 定期実行だけでなく、レコードの追加や編集をトリガーとしたリアルタイム実行も可能です。  
    • トヨクモ DataCollect(有料): krewDataと同様に、複数のkintoneアプリ間のデータを集計・加工できるプラグインです。Excelのような操作感で集計ロジックを設定できる点が特徴です。在庫データの集計や予実管理などに活用できます。krewDataと比較すると、設定の自由度や一度に処理できるフロー数などに違いがあるため、要件に応じて選択する必要があります。  
  • バーコード・QRコード連携: スマートフォンのカメラや専用のバーコードリーダーを使って商品バーコードやQRコードを読み取り、kintoneアプリへのデータ入力を効率化するプラグインが多数存在します。これにより、手入力によるミスを削減し、入出庫作業や棚卸作業のスピードを大幅に向上させることができます。
    • プラグイン例:
      • 「バーコードでPi!」(株式会社ITFit): Androidスマホカメラや外部リーダーに対応。レコード自動作成や検索機能も。Type-AとType-Bプランあり。  
      • potara QRコード/バーコード読み取りプラグイン: 内蔵カメラと外部スキャナーに対応。連続読み取り、複数レコード一括登録が可能。  
      • TIS バーコード読み取りプラグイン(無料): スマホ内蔵カメラでスキャンしたデータをレコードに転記するシンプルな無料プラグイン。  
      • kinveniシリーズ QR・バーコード読み取り(株式会社シーアイエス): スマホ・タブレットカメラで読み取り入力。QRコード生成オプションも有り。 これらのプラグインは、読み取り精度、対応するコードの種類(JAN, QRなど)、価格、スマホカメラへの対応状況などが異なるため、自社の運用環境や予算に合わせて選定することが重要です。  
  • 棚卸支援: 棚卸業務を効率化するためのプラグインも存在します。例えば、棚卸リストの作成、実在庫数の入力支援、理論在庫との差異の自動計算・表示といった機能を提供するものがあります。krewDataのようなデータ集計プラグインと組み合わせることで、より高度な棚卸差異分析も可能になります。  

プラグインを選定する際は、無料試用期間を活用したり、提供元のサポート体制を確認したりすることも大切です。プラグインの導入は、kintoneの在庫管理システムをより実用的で強力なものにするための鍵となります。

主要な在庫管理関連プラグイン比較

プラグイン名提供元主な機能特徴価格帯(税抜)こんな企業におすすめ
在庫管理プラグインTIS株式会社在庫数自動計算、発注点アラート、在庫評価額算出無料で基本的な在庫計算を自動化無料 まずはコストをかけずに在庫計算を自動化したい企業
krewDataグレープシティ株式会社複数アプリ間データ集計・加工、リアルタイム実行、外部連携高度なデータ処理、複雑な集計フローに対応、スケジュール/リアルタイム実行スケジュール実行: 月額¥12,000~, リアルタイム実行: 月額¥18,000~ 複数アプリのデータを柔軟に集計・分析したい、リアルタイム性を重視する企業
DataCollectトヨクモ株式会社複数アプリ間データ集計・加工、Excelライクな操作性シンプルな操作性、集計実行回数無制限月額¥9,000~ Excelでの集計作業に慣れているユーザー、比較的シンプルな集計を多数行いたい企業
バーコードでPi!株式会社ITFitバーコード/QRコード読み取り、レコード自動作成・検索 (Type-A)Androidスマホカメラ、外部リーダー対応、JavaScriptカスタマイズ可初期費用¥180,000 + 月額Type-A: ¥18,000, Type-B: ¥12,000 バーコード/QRコードを積極的に活用し、入力作業を大幅に効率化したい企業
QRコード/バーコード読み取りプラグイン (追加用)potaraQR/バーコード読み取り、内蔵カメラ/外部スキャナー対応、連続読み取りiPhone/Android対応、コード内容の部分登録、自動登録オプション¥110,000/ドメイン (買い切り) 買い切り型で多様なコード読み取り機能を利用したい企業
バーコード読み取りプラグインTIS株式会社スマホ内蔵カメラでのバーコード読み取り、レコードへのデータ転記シンプル操作、無料無料 簡単なバーコード読み取り機能を無料で試したい企業
kinveniシリーズ QR・バーコード読み取り株式会社シーアイエススマホ/タブレットカメラでのQR/バーコード読み取り入力、QR/バーコード生成オプションユーザー数に応じた料金プラン月額¥6,000~ + 生成オプション QRコード生成も行い、現場での情報確認やメンテナンス業務に活用したい企業

4. kintone在庫管理 導入成功事例紹介

kintoneを導入し、在庫管理の課題解決に成功した企業の事例は、これから導入を検討する企業にとって非常に参考になります。ここでは、製造業、小売業、卸売業など、在庫管理が特に重要な業種の中から、具体的な課題、kintoneによる解決策、そして導入効果が明確に示されている事例をいくつか紹介します。

事例1:(製造業)  

  • 課題:
    • 長年、被覆アーク溶接棒の材料管理を手書きの紙台帳で行っており、転記ミスや指示の遅れが頻発していた。
    • 棚卸作業にも多大な時間がかかり、作業者の負担が大きかった。
    • ベテラン従業員の退職に伴う業務引き継ぎも課題となっていた。
  • kintoneによる解決策:
    • 紙台帳の情報をkintoneへ移行し、在庫管理業務をデジタル化。
    • 材料に貼付されたQRコードをiPadのカメラで読み取り、kintoneにデータを自動登録する仕組みを構築。
    • Excelで出力していた出庫指示書に、kintoneの情報を自動転記するマクロを導入。
  • 効果:
    • 定量的: 返却表作成や入庫作業時の転記作業がなくなり、週あたり3.7時間の作業時間削減。半期ごとの棚卸業務では7.75時間の工数削減を達成。
    • 定性的: 転記ミスのリスクが解消され、作業品質が向上。材料が滞留するリスクも大幅に減少。若手社員も抵抗なく新システムに移行でき、在宅勤務での業務推進も可能になった。

事例2:(アパレル製造・販売)  

  • 課題:
    • 在庫管理に基幹システムとExcelを併用していたが、特に多色展開する商品のリアルタイムな在庫情報を正確に把握することが困難だった。
    • 自社でのシステム構築にも限界を感じていた。
  • kintoneによる解決策:
    • kintoneを導入し、在庫情報をリアルタイムで把握できるシステムを構築。
  • 効果:
    • 定性的: 業務効率が大幅に向上。営業担当者が倉庫スタッフへ在庫確認の電話をする回数が減り、倉庫スタッフの負担が軽減された。商品の欠品が減少し、取引先からの信頼も向上。出荷依頼のミスも減り、業務の正確性が高まった。

事例3:(和菓子製造・小売・飲食業)  

  • 課題:
    • 原材料の在庫管理を目視と紙に頼っており、発注は工場責任者の感覚値で行われていた。
    • 本社担当者との電話確認が多く、重複発注や発注遅延が発生していた。
  • kintoneによる解決策:
    • 製品の製造に必要な全ての原材料(もち米、小豆などの主原料からパッケージ資材まで)を商品マスタアプリに登録。
    • 製品を製造すると、必要な原材料がkintoneの在庫から自動的に引き落とされる仕組みを構築。
    • 在庫残量が事前に設定した規定値を下回った場合に、担当者に自動で通知が届くように設定。
  • 効果:
    • 定性的: リアルタイムで正確な原材料の在庫量を把握できるようになった。発注のタイミングもシステムが自動で判断してくれるため、勘に頼った発注がなくなり、発注ミスや遅延が大幅に削減された。

事例4:(老舗和牛専門店・精肉店)  

  • 課題:
    • 各商品や材料の棚卸情報をExcelで管理。毎年の決算期には、商品カテゴリ別や店舗別など、自社に必要な分類での再集計を手作業で行っており、多大な手間と時間、人的ミスのリスクを抱えていた。
  • kintone + krewDataによる解決策:
    • kintoneで商品マスタアプリ、棚卸管理アプリなどを構築。
    • krewDataプラグインを活用し、各店舗から棚卸管理アプリに登録された在庫情報を自動で集計するフローを構築。店舗別・商品カテゴリ別の在庫数や合計金額を専用アプリで確認できるようにした。
  • 効果:
    • 定量的・定性的: 従来の手作業による再集計業務が大幅に削減され、在庫管理業務の効率が著しく向上。一部手入力は残るものの、全体的な負担は大きく軽減された。kintoneからExcel形式でデータを出力できるため、会計士や税理士など外部関係者への情報共有も容易になった。

これらの事例から、kintone導入を成功させるためには、以下のポイントが重要であることがわかります。

  • 課題の明確化: 導入前に、自社の在庫管理における具体的な問題点や改善したい点を明確に特定することが成功の第一歩です。  
  • 現場の巻き込み: 実際にシステムを利用する現場スタッフの意見を十分に聞き、彼らが使いやすいと感じるシステムを共に作り上げていく姿勢が重要です。トップダウンだけでなく、ボトムアップの意見も取り入れることで、導入後の定着がスムーズになります。  
  • スモールスタートと段階的拡張: 最初から全ての機能を盛り込んだ完璧なシステムを目指すのではなく、まずは基本的な機能から導入し、運用しながら改善を重ね、必要に応じてカスタマイズやプラグインで機能を拡張していくアプローチが現実的です。  
  • 適切なパートナー選定: 自社だけでのシステム構築や運用に不安がある場合は、kintoneの導入支援実績が豊富なパートナー企業に協力を仰ぐことも有効な選択肢です。専門家の知見を借りることで、よりスムーズな導入と効果的な活用が期待できます。  
  • IT導入補助金の活用検討: 中小企業の場合、IT導入補助金制度を利用することで、システム導入にかかるコスト負担を軽減できる可能性があります。対象となる条件や申請方法を確認してみましょう。  

成功事例は、kintoneが単なるツールではなく、業務プロセスそのものを見直し、改善していくためのプラットフォームであることを示しています。これらのポイントを参考に、自社に最適なkintone在庫管理システムの導入・運用を目指しましょう。

5. kintone在庫管理をさらに最適化する実践TIPS

kintoneで基本的な在庫管理システムを構築した後も、さらなる業務効率化や精度向上を目指すための工夫が可能です。ここでは、棚卸業務の効率化、バーコード・QRコード連携、大量データ運用時の注意点、そして複数ユーザーによる同時編集問題への具体的な対応策について解説します。

棚卸業務の効率化:実地棚卸と差異調整のフロー

棚卸は在庫管理の正確性を担保する上で非常に重要な業務ですが、手作業が多く時間もかかるため、効率化が求められます。kintoneを活用することで、この棚卸業務を大幅に効率化できます。

  • 棚卸用アプリの作成: まず、実地棚卸の結果を記録するための専用アプリ(例:「棚卸入力アプリ」)を作成します。 このアプリには、最低限「棚卸日」「商品コード(商品マスタからルックアップ)」「商品名」「保管場所」「実在庫数(手入力)」といったフィールドを設けます。スマートフォンやタブレットから入力できるようにしておくと、現場での作業がスムーズです。  
  • 理論在庫との突合と差異計算: krewDataやDataCollectのようなデータ集計プラグインを利用して、「棚卸入力アプリ」に登録された実在庫数と、「商品マスタアプリ」や入出庫履歴から算出される理論在庫数を商品ごとに突合します。 そして、その差異(実在庫数 - 理論在庫数)を自動計算し、差異が大きい商品や注意すべき商品をリストアップする「在庫差異確認アプリ」のようなものを作成すると便利です。  
  • 差異の原因分析と在庫調整: 「在庫差異確認アプリ」で明らかになった差異について、その原因(入力ミス、紛失、破損など)を調査し、結果を記録します。原因が特定できたものは、kintone上で正式な在庫調整処理(例えば、調整用の入出庫伝票を起票するなど)を行い、商品マスタの在庫数を実態に合わせて更新します。この一連のプロセスもkintoneのワークフロー機能を使って管理することで、承認フローの明確化や進捗管理が可能です。

このように、棚卸プロセス全体をkintone上でデジタル化することで、紙ベースの作業やExcelへの転記作業がなくなり、人的ミスの削減と大幅な時間短縮が期待できます。

バーコード・QRコード連携による入力作業の省力化

商品の入出庫時や棚卸時に、商品情報を手入力する代わりにバーコードやQRコードを読み取ることで、作業の迅速化と正確性の向上が図れます。  

  • 連携方法と必要なもの:
    • キーボード入力式バーコードリーダー: Bluetooth接続タイプやUSB接続タイプがあり、読み取ったバーコード情報をキーボード入力としてkintoneのフィールドに直接入力できます。 特別なプラグインが不要な場合も多く、手軽に導入しやすい方法です。選定時には、読み取り精度、バッテリー持続時間、耐久性、対応OS、価格帯などを比較検討しましょう。  
    • スマートフォン・タブレットのカメラ活用: 専用のプラグインを導入することで、スマートフォンやタブレットの内蔵カメラを使ってバーコードやQRコードを読み取り、kintoneアプリにデータを転送できます。  
    • 専用プラグイン: 「バーコードでPi!」(ITFit)、potaraのQR/バーコード読み取りプラグイン、TISの無料バーコード読み取りプラグイン、kinveniシリーズ(CIS)など、様々なプラグインが提供されています。 これらは、読み取り可能なコードの種類(JAN、QR、CODE39など)、kintoneへのデータ登録方法(新規レコード作成、既存レコード更新など)、価格体系(月額、買い切り、無料)などが異なります。  
  • QRコード活用のメリット: QRコードは、バーコードよりも多くの情報を格納でき、URLなどの情報も埋め込めます。これにより、例えばQRコードを読み取るだけでkintoneの特定商品のレコード詳細画面を直接開く、といった高度な連携も可能になります。  

バーコード・QRコード連携は、特に取扱品目数が多い場合や、入出庫頻度が高い業務において、入力作業の負担を劇的に軽減し、ヒューマンエラーを防ぐ強力な手段となります。

大量データ運用時のパフォーマンス考慮点と対策

長期間kintoneで在庫管理を運用していくと、商品マスタのアイテム数や日々の入出庫履歴データが蓄積され、数万~数百万レコードに達することも考えられます。このような大量データを扱う場合、アプリの検索速度や一覧表示速度が低下するパフォーマンス問題が発生する可能性があります。  

  • アプリ分割の設計パターン:
    • トランザクションデータとマスタデータの分離: これは基本的な設計ですが、入出庫履歴のような日々増加するトランザクションデータは、商品情報のような比較的変動の少ないマスタデータとは別のアプリで管理します。
    • 履歴データのアーカイブ: 古い入出庫履歴など、参照頻度が低いが記録として残しておく必要のあるデータは、定期的に稼働中のアプリから「アーカイブ用アプリ」に移行します。 アーカイブ用アプリは参照専用とし、稼働アプリのデータ量を抑制することでパフォーマンスを維持します。例えば、「入出庫履歴(2023年以前)」といった形で年度ごとにアプリを分ける方法があります。  
    • データ量に応じた分割: 特定のアプリのレコード数が一定数(例:数十万件)を超えそうな場合に、機械的にアプリを分割する方法も考えられます。  
  • 一覧表示の最適化:
    • レコード一覧画面に表示するフィールドの数を必要最小限に絞ります。特に、計算フィールドやルックアップフィールド、添付ファイルフィールドなど、表示に負荷がかかる可能性のあるフィールドの多用は避けます。  
    • デフォルトの一覧表示はシンプルな条件にし、複雑な絞り込みやソートは必要な場合にユーザーが都度設定するように促します。
  • 定期的なデータメンテナンス:
    • 不要になったテストデータや誤入力データなどを定期的に削除・整理する運用を心掛けます。

パフォーマンスを維持するためには、初期のアプリ設計段階からデータ量の増加を見越した計画を立てることが重要です。

複数ユーザーによる同時編集問題への具体的な対応策

前述の通り、kintoneの標準機能ではレコードの同時編集時にデータの整合性が損なわれるリスクがあります。在庫情報のように更新頻度が高く、複数担当者が関わる業務では、この問題への対策が不可欠です。  

  • 運用ルールによる回避:
    • 編集作業を行う時間帯をユーザーごとにある程度分散させる。
    • 特定の重要マスタ(商品マスタなど)の編集権限を一部の管理者に限定する。
  • アプリ設計による対策:
    • 入力専用アプリと閲覧専用アプリの分離: 在庫数を直接編集するのではなく、入庫・出庫といった「トランザクション」を専用アプリに登録し、その結果をkrewDataやプラグインで集計して在庫表示用アプリに反映する方式です。 これにより、在庫数レコードへの直接的な同時書き込み競合を避けることができます。  
    • プロセス管理機能の活用: レコードに「編集中」「承認待」などのステータスを設け、プロセス管理機能とアクセス権設定を組み合わせることで、特定のステータスにある間は他のユーザーが編集できないように制御します。 例えば、誰かがレコードを編集開始時にステータスを「編集中」に変更し、その間は他のユーザーの編集権限をなくす、といった運用です。  
  • プラグインによる対策:
    • TIS「レコード同時編集確認プラグイン」(無料): あるユーザーがレコードを編集中に、別のユーザーが同じレコードを編集しようとすると、警告メッセージを表示して注意を促します。 これにより、意図しない上書きのリスクを軽減できます。このプラグインは設定不要で利用できる手軽さも魅力です。  
    • Customine(gusuku Customineなど、有料): より高度なカスタマイズサービスを利用すると、JavaScriptを記述することなく、レコード編集中にロックをかけるような動作を擬似的に実現できる場合があります。  

これらの対策を組み合わせることで、kintoneの同時編集の制約による問題を最小限に抑え、より安全で効率的な在庫管理運用を目指すことができます。

6. まとめ:kintoneで自社に最適な在庫管理システムを構築し、業務効率を最大化しよう

本記事では、kintoneを活用した在庫管理について、そのメリット、課題と対策、具体的なアプリ作成方法、導入事例、そしてさらなる最適化のための実践的なTIPSを網羅的に解説してきました。

kintoneは、その柔軟なカスタマイズ性拡張性、そして比較的手頃なコスト効率により、特に中小企業にとって魅力的な在庫管理ソリューションとなり得ます。 手書きやExcel管理で限界を感じている企業、既製システムでは業務にフィットしないと感じている企業にとって、kintoneは自社の業務プロセスに合わせたオーダーメイドに近いシステムを、プログラミングの専門知識なしに構築できる可能性を秘めています。  

重要なのは、導入前に自社の在庫管理における具体的な課題とニーズを明確に把握し、それに基づいてシステムを設計することです。最初から完璧なシステムを目指すのではなく、まずはスモールスタートで基本的な機能から導入し、現場のフィードバックを取り入れながら継続的に改善・拡張していくアプローチが成功の鍵となります。  

在庫数の自動計算、バーコード連携、棚卸業務の効率化といった高度な機能を実現するためには、適切なプラグインの選定と活用が不可欠です。また、データ量の増加に伴うパフォーマンス問題や、複数ユーザーによる同時編集といったkintone特有の注意点については、本記事で紹介したような対策を講じることで、多くの場合対応可能です。

もし自社だけでの構築・運用に不安がある場合は、kintone導入支援実績の豊富な専門パートナーに相談することも検討しましょう。

kintoneを活用することで、欠品や過剰在庫の削減、棚卸作業の効率化、リアルタイムな在庫情報の共有といった直接的な効果に加え、入力ミスの削減、属人化の解消、そして何よりも従業員がより創造的な業務に集中できる環境の実現が期待できます。

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