kintone(キントーン)活用事例

kintone(キントーン)活用事例【最新版】導入効果を最大化する業種・業務別ノウハウを徹底解説!

I. はじめに

現代のビジネス環境において、企業は常に効率性の向上、業務プロセスの合理化、そして急速に変化するデジタルランドスケープへの適応という普遍的な課題に直面しています。紙ベースの作業、散在するExcelファイル、硬直的なレガシーシステムといった従来の手法は、しばしば業務のボトルネックとなり、企業の成長を妨げる要因となっています。

このような状況下で、kintone(キントーン)は変革を促す触媒として登場しました。kintoneは、専門的なプログラミング知識を必要とせずに、企業が独自の業務アプリケーションを構築できる柔軟なクラウドベースのプラットフォームです。デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で、kintoneは多くの企業にとって強力なツールとなっています 。紙やExcelを中心としたアナログな業務プロセスから脱却し、kintoneによって業務効率を大幅に改善した事例は枚挙にいとまがありません 。  

本記事の目的は、「kintone 活用事例」を網羅的に収集し、読者の皆様に提供することです。他社の成功事例や直面した課題から学ぶことは、kintoneの導入を検討している、あるいは既に利用している組織にとって非常に価値があります。この記事が、「kintone 活用事例」を探求するすべての方々にとって、実用的な洞察とインスピレーションを得るための決定版リソースとなることを目指しています。

kintoneのノーコード・ローコードという特性 は、単にアプリケーション開発を容易にするだけでなく、デジタルトランスフォーメーションを「民主化」する力を持っています。従来、システムの開発は時間がかかり、高コストで、専門的なITスキルを必要とするため、多くの部門や中小企業にとっては参入障壁となっていました。しかし、kintoneの登場により、業務上の課題を最もよく理解している現場の担当者自身が、解決策の構築に積極的に関与できるようになりました。この現場主導のアプローチは、問題解決を加速させ、開発されるソリューションが実際の業務ニーズに即したものであることを保証します。結果として、DX推進はIT部門主導のトップダウン型だけでなく、現場からのボトムアップ型でも進められるようになり、これはDXへの取り組み方における大きな変化と言えるでしょう。  

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II. kintoneとは?~業務改善を加速する万能プラットフォーム~

kintoneは、単なるアプリケーション作成ツールに留まらず、企業の業務改善を多角的に支援するプラットフォームです。その中核機能は以下の通りです。

  • データベース機能: Excelや紙、あるいは部署ごとにバラバラに管理されていたデータを一元的に集約し、活用可能な状態にします 。  
  • アプリケーション作成(ノーコード・ローコード): プログラミングの専門知識がなくても、ドラッグ&ドロップなどの簡単な操作で、自社の業務に特化したカスタムアプリケーションを迅速に構築できます。豊富なサンプルアプリを基にカスタマイズすることも可能です 。  
  • ワークフロー管理: 申請・承認プロセスなど、定型的な業務フローをシステム上で設計し、自動化することができます 。  
  • コミュニケーション・コラボレーション機能: データやタスクに関連したチーム内のコミュニケーションを円滑にするための機能が組み込まれています 。  

これらの機能がもたらす主な導入メリットは以下の通りです。

  • 柔軟性とカスタマイズ性: 多様な業種や企業規模のニーズに合わせて、柔軟にシステムを構築・改修できます 。  
  • 迅速な導入と展開: 従来のシステム開発と比較して、開発期間を大幅に短縮し、迅速な業務改善を実現します 。  
  • データの一元化と可視化: 業務データを一箇所に集約することで、情報の透明性を高め、必要な情報へのアクセスを容易にします 。  
  • コラボレーションの向上: 共通のプラットフォーム上で情報やプロセスを共有することで、チームワークを強化します 。  
  • アクセシビリティ: クラウドベースであるため、インターネット環境があれば、場所や時間を問わず、PCやスマートフォン、タブレットなど様々なデバイスからアクセス可能です 。  

kintoneの真価は、初期のアプリケーション作成能力だけに留まりません。その柔軟性により、ビジネスプロセスの継続的かつ反復的な改善が可能になる点にあります。これは、一度導入したら固定化されがちな従来のシステムとは異なり、ビジネスの成長や変化に合わせて進化し続けるプラットフォームであることを意味します。多くの企業が、初期の課題解決にkintoneを導入した後も、業務の変化や新たに見つかった非効率な点に対応するため、迅速にアプリケーションを改修しています 。ノーコード・ローコード環境がもたらす改修の容易さ は、企業が業務プロセスを段階的に洗練させ、新たな課題や機会に機敏に対応することを可能にし、結果として「カイゼン」の文化を組織内に育むことに繋がります。これは単に「アプリを作れる」という以上の、より深い価値と言えるでしょう。  

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III. 【業種別】kintone活用事例集~成功企業から学ぶ課題解決のヒント~

kintoneの適応性の高さは、多様な業種の企業で実証されています。このセクションでは、具体的な成功事例を通じて、kintoneがどのように課題解決に貢献しているかを見ていきましょう。

Table 1: 業種別kintone活用ハイライト

業種主な活用業務・アプリ例代表的な導入効果
製造業工程管理、在庫管理、品質管理、図面管理、設備保全、工場日報生産性向上、リードタイム短縮、ミス削減、情報共有円滑化
自治体災害対策(避難所運営、情報通報)、住民からの通報管理、補助金申請、選挙事務、庁内情報共有住民サービス向上、業務効率化、迅速な意思決定、ペーパーレス化
サービス業顧客管理(CRM)、予約管理、案件管理、施設管理、スタッフ間コミュニケーション顧客満足度向上、業務効率化、情報の一元管理
建設業案件管理、工程管理、日報管理、図面共有、安全管理(ヒヤリハット報告)、協力会社連携情報共有の迅速化、生産性向上、コスト削減、ペーパーレス化
卸売・小売業在庫管理、受発注管理、店舗管理(日報、VMD報告)、顧客管理、販促計画共有在庫最適化、業務効率化、情報共有の迅速化、顧客満足度向上
医療・介護患者・利用者情報管理、介護記録、服薬管理、シフト管理、施設運営管理、多職種連携業務負担軽減、情報共有の円滑化、サービス品質向上、記録の標準化
教育機関学生情報管理、出欠管理、成績管理、保護者連絡、アンケート集計、校務支援(備品管理、施設予約)校務効率化、情報共有の促進、コミュニケーション円滑化
NPO法人会員・寄付者管理、イベント管理、ボランティア管理、助成金申請管理、活動報告業務効率化、情報の一元管理、透明性の向上、活動の活性化

A. 製造業

製造業では、紙やExcel、ホワイトボードといったアナログな管理手法が依然として多く残っており、生産計画、進捗管理、在庫管理、品質管理、図面管理などにおいて非効率が生じがちです。また、部門間のリアルタイムな情報共有の欠如も課題となっています 。  

kintoneはこれらの課題に対し、生産進捗管理アプリ、図面管理アプリ、設備メンテナンス記録アプリ、在庫管理アプリ、QCサークル活動報告アプリといった形で業務プロセスのデジタル化を支援します 。これにより、営業、設計、生産、管理部門間でのリアルタイムなデータ共有が実現し、情報フローが大幅に改善されます。  

詳細事例1: N自動車 

  • 課題: 購買部門のバイヤーが、膨大な部品調達価格データを基幹システムから手作業で収集・比較しており、多大な工数と属人化が問題でした。
  • kintoneによる解決策: 車種情報や為替レートを取得するアプリなどをkintoneで構築し、調達価格の集約と比較をワンクリックで実行できるようにしました。
  • 導入効果: 購買部門の工数を大幅に削減し、属人化を解消。よりタイムリーなデータに基づいた意思決定が可能になりました。

詳細事例2: A工業  

  • 課題: アナログ管理からの脱却を目指したものの、既存システムが一部業務に適合せず、限界を感じていました。
  • kintoneによる解決策: 生産現場にkintoneを導入しました。
  • 導入効果: 工程管理の見える化を実現し、設備機器の不具合やトラブルが減少。デジタル化により管理面の負担も軽減され、製品の品質向上も達成しました。

詳細事例3: K工作所  

  • 課題: モーターの巻線加工においてアナログな作業プロセスが用いられており、納期や製品情報の追跡に課題がありました。
  • kintoneによる解決策: アナログなプロセスをkintoneに置き換え、納期や製品情報など必要な情報の流れを自動化しました。
  • 導入効果: プロセスの見える化を実現し、情報精度が向上しました。

製造業においてkintoneは、工場の現場(OT:Operational Technology)と情報システム(IT:Information Technology)の間に存在するギャップを埋める重要な橋渡し役を担うことがあります。従来、工場現場のデジタル化は、柔軟性に欠ける高価な専用システムに頼ることが多く、ITによる効率化の恩恵を受けにくい領域でした。しかし、kintoneの導入事例 を見ると、生産進捗管理や設備保全記録、不良品対策管理など、まさに工場現場のオペレーションに直接関わる部分で活用されています。kintoneのアプリケーション作成の容易さは、製造業者が特定のデータ収集ポイントや情報共有ニーズに合わせて、オーダーメイドのソリューションを迅速かつ低コストで構築することを可能にします。これにより、OT領域からのデータ収集と可視性が向上し、より広範なITシステムとの連携や、局所的な業務効率化が促進され、製造業DXにおける一般的な課題を克服する一助となっています。  

B. 自治体

地方自治体では、依然として紙ベースの業務プロセスが多く、情報が部署ごとに分断されがちです。特に、災害時や複数の外部機関との連携が必要な場面での非効率なコミュニケーション、複雑な補助金・助成金管理、手間のかかる選挙事務などが課題として挙げられます 。  

kintoneは、避難所運営システムや災害情報通報システム、市民からの通報(不法投棄、道路損傷など)集約システム、補助金申請ポータル、選挙事務支援システム、庁内情報共有基盤など、多岐にわたるソリューションを提供します 。特に、FormBridgeやkViewerといったプラグインを活用することで、住民向けのインターフェース構築も容易になります 。  

詳細事例1: 市役所  

  • 課題: 5,000枚以上の日報をはじめとする、圧倒的な紙文化が業務を圧迫していました。
  • kintoneによる解決策: 全庁的な迅速な業務改善ツールとしてkintoneを採用しました。
  • 導入効果: わずか3ヶ月で一気に電子化に成功し、膨大な紙業務を廃止。業務効率が大幅に向上しました。

詳細事例2:県庁  

  • 課題: 市町村との行政文書のやり取りをメールで行っており、年間100通を超えるメールを35市町村と17一部事務組合等に送り、手作業で開封・解凍・保存・集計する非効率な状況でした。
  • kintoneによる解決策: kintoneを県と市町村との情報共有基盤として導入しました。
  • 導入効果: わずか6ヶ月で50を超える団体との効率的な情報共有を実現。メールでの一方通行のやり取りから脱却し、手作業による負担を軽減。市町村からも添書やメール作成の手間が省けたと好評で、送受信時のトラブルも減少しました。

詳細事例3: 市役所  

  • 課題: 全般的な業務非効率。
  • kintoneによる解決策: kintoneと生成AIを連携させて活用しました。
  • 導入効果: 年間2,000時間超の業務時間削減を達成。議会答弁書作成業務など、自治体業務の変革を推進しています。

地方自治体にとって、kintoneは単なる内部業務の効率化ツールに留まりません。住民サービスの質を直接的に向上させ、特に危機的状況下におけるコミュニティのレジリエンス(回復力・強靭性)強化に貢献します。災害発生時の避難所運営や住民からの被害報告受付といった業務 は、住民の安全と支援に直結します。また、「防災福祉カンタンマップ」のような仕組み は、支援が必要な人々に関する情報を共有し、的を絞った援助を可能にします。さらに、新型コロナウイルス感染症のような危機的状況下で需要が急増した補助金申請システム を迅速に構築・展開できるkintoneの機敏性は、市民や事業者への迅速な支援提供を意味します。このように、kintoneは自治体がより応答性が高く、適応力のある組織となることを助け、内部ワークフローの改善だけでなく、不可欠な公共サービスや危機対応の質と適時性を向上させるのです。  

C. サービス業

サービス業では、顧客情報、予約、注文、スタッフのスケジュールなどを効率的に管理し、一貫したサービス品質を確保することが重要です 。  

kintoneは、顧客管理(CRM)アプリ、予約システム、注文管理システム、スタッフ間のコミュニケーションツールなど、サービス業特有のニーズに応えるソリューションを提供します。

詳細事例1: 飲食  

  • 課題: 毎月1日に発売される人気の「餅(もち)」の予約受付管理や、百貨店のイートイン店舗でのオーダー管理に手間がかかっていました。
  • kintoneによる解決策: 朔日餅の予約管理アプリやイートイン店舗のオーダー管理システムをkintoneで構築しました。
  • 導入効果: 予約集計の手作業時間を年間200時間削減。オーダー処理の効率化に加え、キャンセル減によるブランド価値向上、予約データに基づいた人員配置の最適化など、単なる効率化以上の効果を実現しています。

詳細事例2: 一般社団法人観光協会  

  • 課題: 会員リストや毎年の請求業務をExcelで手作業管理しており、手間が膨大でした。また、インボイス制度への対応も必須でした。
  • kintoneによる解決策: 請求明細と請求先を管理するアプリを作成し、プラグイン「krewData」を利用して請求データを自動作成。さらにマネーフォワードクラウド請求書と連携し、印刷・送付工数も削減しました。
  • 導入効果: 請求データの自動作成を実現し、請求業務にかかる手作業を大幅に削減。インボイス制度にもスムーズに対応できました。

D. 建設業

建設業では、複数の現場や関係者(施主、協力会社など)間でのプロジェクト情報管理、現場からの日報作成、図面管理、安全管理(ヒヤリハット報告など)、スケジュール調整といった業務に多くの課題を抱えています 。  

kintoneは、工事基本情報管理アプリ、モバイル対応の日報アプリ、ヒヤリハット報告システム、資機材管理アプリ、kViewerを活用した外部関係者とのスケジュール共有機能などを提供します 。特に、kintoneライセンスを持たない外部ユーザーとの連携を円滑にするため、トヨクモ社のプラグイン(FormBridge、kViewer、kMailer、PrintCreatorなど)が頻繁に活用されています 。  

詳細事例1: 住宅会社  

  • 課題: 数十社に及ぶ協力会社との連絡方法が各社で異なり、現場監督や事務スタッフの負担となっていました。
  • kintoneによる解決策: kintoneを導入し、情報共有グループや納品書システムを構築しました。
  • 導入効果: 各協力会社との連絡の一元化・円滑化を実現。その他、品質管理の仕組み化や工程管理の業務効率化も達成しました。

詳細事例2: ハウスメーカー  

  • 課題: 長年使用していたパッケージソフトが限界を迎え、代替システムも見つからず苦慮していました。
  • kintoneによる解決策: 同業者からの紹介でkintoneを知り、導入。物件情報や受付登録アプリなどを作成しました。
  • 導入効果: 受付業務時間を80%、請求書登録作業を93%削減。働き方改革も追い風となり、過去最高の営業利益を達成しました。

建設業界のように、多数の外部協力者(下請け業者、施主など)が関与するプロジェクトにおいて、kintoneは単なる内部ツールを超えた価値を提供します。特に、トヨクモ社製品群のようなプラグイン と組み合わせることで、kintoneは「エコシステムイネーブラー」へと進化します。これは、kintoneライセンスを持たない外部関係者との間で、シームレスなデータ交換を可能にする仕組みです。例えば、外部の作業員がFormBridgeを通じてヒヤリハット報告や工事日報を提出したり、kViewerを通じて最新の図面や工程表を閲覧したりする事例が報告されています 。これにより、建設会社は、ライセンスコストや管理の煩雑さを気にすることなく、自社のkintoneベースのワークフロー(安全管理、進捗報告、スケジュール共有など)をプロジェクトに関わる全ての関係者に拡張できます。結果として、kintoneとプラグインの組み合わせは、建設業界特有の多岐にわたる関係者間のコラボレーションを効率化し、情報伝達の正確性と迅速性を高める、連結された作業環境を創出するのです。  

E. 卸売・小売業

卸売・小売業では、複数店舗にまたがる在庫管理、リアルタイムでの売上把握、本部と店舗間のコミュニケーション、顧客管理、受発注処理などが共通の課題です 。  

kintoneは、在庫管理システム、売上報告アプリ、店舗間コミュニケーションプラットフォーム(お知らせ配信、VMD報告など)、顧客からの相談・クレーム管理アプリ、受発注管理システムなどを提供します 。既存の販売管理システムや在庫管理システムとの連携も可能です 。  

詳細事例1: アパレル 

  • 課題: 社内PCからしか承認作業ができず意思決定が遅れがちで、一部業務は紙ベースのままでした。
  • kintoneによる解決策: モバイル対応と高いカスタマイズ性を評価し、総務部主導でkintoneを導入。システムを構築しました。
  • 導入効果: スマートフォンからの各種申請・変更が可能になり、業務や意思決定が迅速化。紙業務のデータ化にも成功しました。

詳細事例2: 雑貨店

  • 課題: 発注残管理システムの構築が必要でした。
  • kintoneによる解決策: kintoneで発注残管理システムをわずか2週間で構築しました。
  • 導入効果: 購買部門と取引先の商社がリアルタイムで納期や発注状況を共有できるようになりました。店舗への情報伝達もスムーズになり、顧客満足度が向上し、店舗スタッフの働きやすさも改善されました。

F. 医療・介護

医療・介護分野では、患者・利用者記録の管理、スタッフ間のケア情報連携、スケジュール調整、コンプライアンス対応(例:介護関連施設でのHACCP対応 )、そして直接的なケアに時間を割くための書類業務削減が大きな課題です 。  

kintoneは、患者・利用者情報データベース、ケアプラン管理、服薬記録、スタッフのシフト管理、インシデント報告、スタッフ間申し送りなどのアプリケーションを提供します 。電子カルテシステムとの連携事例も見られます 。  

詳細事例1: 介護業 

  • 課題: 介護に必要な情報を手書きし、その後Excelに入力するという二度手間が発生しており、時間と手間がかかっていました。
  • kintoneによる解決策: kintoneを導入し、情報を直接入力することでリアルタイム共有を実現。担当外の利用者の情報も容易に検索できるようになりました。
  • 導入効果: 転記作業がなくなり、情報アクセシビリティが向上。スタッフは本来のケア業務により多くの時間を割けるようになりました。介護記録作成時間は1日3時間からその3分の1に短縮されました 。  

詳細事例2: 診療所  

  • 課題: 非効率な業務運営、夜間対応計画の不備、年間3000万円の大幅な赤字経営。
  • kintoneによる解決策: 20以上の業務アプリをkintoneで構築しました。
  • 導入効果: 情報共有がスムーズになり、医療サービスの質と効率が向上。夜間対応も計画的に行えるようになりました。結果として、診療所は4ヶ月で黒字転換を達成しました。

G. 教育機関

教育機関では、学生情報、出欠、成績の管理、保護者とのコミュニケーション、学校運営業務(備品予約、予算管理など)、そしてキャリア支援といった多岐にわたる業務が存在します 。  

kintoneは、学生データベース、出欠管理アプリ、成績管理システム、保護者連絡ポータル(例:学校からのお知らせアプリ )、学校評価アンケートアプリ 、保健日誌パック 、キャリア支援アプリ などを提供します。保護者向けの欠席連絡フォームなど、外部向け機能にはトヨクモ連携サービスが活用されることもあります 。  

詳細事例1: 小学校  

  • 課題: 従来の学校事務および保護者連絡方法の効率化。
  • kintoneによる解決策: 教職員から家庭へ直接お知らせを配信できる「学校からのお知らせアプリ」や、保護者がスマートフォンやPCから回答でき、回収・集計作業もアプリで自動化される「学校評価アンケートアプリ」を導入しました。
  • 導入効果: アンケートの回収・集計に関する教職員の作業負担がほぼゼロになりました。コミュニケーションも円滑化されました。

詳細事例2: 教育委員会  

  • 課題: 複数の学校間および学校と教育委員会間の業務効率化。
  • kintoneによる解決策: kintoneを採用し、市内全21の公立小中学校の全教員にアカウントを配布。各学校の校務や教育委員会と各学校間の業務に活用しています。
  • 導入効果: (間接的効果として)学区全体の事務作業とコミュニケーションの合理化が期待されます。

H. NPO法人

NPO法人では、限られたリソースの中で会員、寄付者、ボランティア、イベント、プロジェクトデータなどを管理し、関係者への透明性の高い報告を行う必要があります 。  

kintoneは、会員・寄付者管理データベース、イベント申込フォーム、ボランティア調整アプリ、プロジェクト進捗管理ツール、会計報告ツールなどを提供します。多くの場合、コスト効率の高い「チーム応援ライセンス」が活用されています 。  

詳細事例1: 一般社団法人

  • 課題: 全国規模の政策提言活動における情報共有、多様な活動(調査、ロビー活動、イベント)の管理、会員データ管理、限られた予算内での透明性確保。
  • kintoneによる解決策: kintone(チーム応援ライセンス)を活用し、活動記録、資料保管(提言活動の「武器庫」)、アンケートデータ分析、経費精算、会員コミュニケーション、国会議員情報管理などを実施。メールワイズと連携し、ターゲットを絞ったメールキャンペーンも展開。
  • 導入効果: 会員数800人超に成長、全国で426件の地方議会意見書可決に貢献、国内外で多数のメディア掲載を獲得。「キントーンとメールワイズが組織の力を強めてくれた」との声。組織力、透明性、キャンペーン効果が向上しました。

詳細事例2: 認定NPO法人

  • 課題: 里親会員(受益者)と寄付者(支援者)の情報を別々のシステム(Salesforceなど)で管理しており、両方の立場を持つ人が見えにくい状態でした。決済情報の一括インポートや、外部委託業務のための詳細なアクセス権限設定も困難でした。
  • kintoneによる解決策: 全てのステークホルダー情報をkintoneに移行し一元管理。ATTAZoo+のようなプラグインで累積寄付額を把握。柔軟なアクセス権限設定により里親審査業務の外部委託を実現。
  • 導入効果: ステークホルダーの全体像を把握できるようになり、パーソナライズされたコミュニケーションが可能に。外部委託が円滑化し、寄付者の貢献状況もより良く追跡できるように。NPO運営の強固な基盤を構築し、現在4名の正職員で約6,500人のステークホルダーとの交流を支えています。

IV. 【業務別】kintoneでここまで変わる!課題解決の具体例

kintoneは特定の業種だけでなく、多くの企業に共通する様々な業務課題の解決にも貢献します。ここでは、代表的な業務別にkintoneがもたらす変革を見ていきましょう。

A. 顧客管理 (CRM)

  • kintone導入前: 顧客データがExcelや紙、個々の担当者の記憶の中に散在し、一貫したフォローアップが難しく、過去の対応履歴の追跡も困難でした 。  
  • kintone導入後: 顧客情報が一元化されたデータベースが構築され、活動履歴の記録、フォローアップのための自動リマインダー設定、ターゲットを絞ったコミュニケーションのための顧客セグメンテーションなどが可能になります。
    • 例えば、株式会社アイフク・テックでは、顧客プロジェクトデータを含む建設工事の原価を見える化し、予実管理を改善しています 。  
    • また、リノベる株式会社では、従来散在していたデータでは不可能だった、見込み客から契約までの顧客情報を追跡するカスタムCRMを構築しました 。  

B. 案件・進捗管理

  • kintone導入前: プロジェクトの状況が不透明で、納期遅延が発生しやすく、チームメンバー間のタスク調整も難しく、報告書の作成も手作業でした 。  
  • kintone導入後: リアルタイムでの進捗状況の把握、タスクの割り当て、期限の通知、報告書の自動生成、ガントチャートによる可視化などが実現します。
    • 製造業向けの工程進捗管理アプリ や、有限会社セブンプロジェクトにおけるガントチャートを活用したプロジェクト管理 がその例です。  

C. 日報管理

  • kintone導入前: 紙やメールベースの日報は、集計や分析が難しく、作成者・閲覧者双方にとって時間のかかる作業でした 。  
  • kintone導入後: 標準化されたデジタルフォームにより、スマートフォンなどからも入力可能になり、データは自動的に集計され、検索や分析も容易になります。報告にかかる時間も大幅に削減されます。
    • 工場日報アプリ や、神戸市役所が5,000枚以上の紙の日報を廃止した事例 が挙げられます。  

D. 在庫管理

  • kintone導入前: 手作業での在庫確認、不正確な在庫データ、欠品や過剰在庫の発生、複数拠点間での在庫追跡の困難さなどが課題でした 。  
  • kintone導入後: リアルタイムでの在庫状況の把握、在庫僅少時の自動アラート、発注プロセスの合理化、在庫精度の向上が期待できます。
    • 「目視で行っていた在庫管理をkintoneで正確に確認」する事例 や、ユニー・ファミリーマートホールディングスがkintoneを活用した在庫発注システムにより欠品率低下と廃棄ロス削減を実現した事例 があります。  

E. 申請・ワークフロー承認

  • kintone導入前: 紙ベースでの申請・承認ルートは、物理的な書類の移動に伴う遅延、承認状況の不透明さ、書類の紛失といった問題がありました 。  
  • kintone導入後: デジタルでの申請、自動化された承認ルート、進捗状況の追跡、モバイル端末からの承認、監査証跡の記録などが可能になります。
    • 「面倒な備品購入確認をkintoneの申請アプリで手間を減らす」事例 や、株式会社ZOZOがモバイル承認にkintoneを活用している事例 が代表的です。  

F. 情報共有

  • kintone導入前: 情報が各部署や個人に滞留する「情報のサイロ化」、メールのやり取りへの依存、過去情報の検索困難、コミュニケーションの非効率などが問題でした 。  
  • kintone導入後: 一元化されたナレッジベースの構築、チームやプロジェクトごとのコミュニケーションスペースの設置、文書共有と検索の容易化、社内コミュニケーションの改善が図れます。
    • 宮城県庁が市町村との情報共有にkintoneを活用した事例 や、熊本地震の際に新聞社がkintoneの「スペース」機能を活用して円滑な情報共有を実現した事例 があります。  

kintoneが様々な業務タスクで強みを発揮するのは、個々の機能を最適化するだけでなく、これらの機能を有機的に連携させ、従来部門間に存在していた情報の壁を取り払う能力にあります。多くの事例で、kintoneが複数の部署を横断して、あるいは本質的に複数のチームが関与するプロセスで使用されていることが示されています 。営業(CRM)、プロジェクト、運営からのデータが一元的に存在し、相互にリンクできるkintoneのようなプラットフォームは、部門横断的な可視性を自然と向上させます。例えば、kintone CRMの販売データがkintone製造アプリの生産計画に情報を提供したり、kintoneのプロジェクト進捗が財務部門の請求処理に利用されたりすることが可能です。単一プラットフォームによって促進されるこの相互接続性は、「それは私の部署のシステムではない」という問題を克服し、局所的な改善だけでなく、より包括的なビジネスプロセス全体の最適化へと導きます。  

V. kintone導入を成功に導く5つのポイント

kintoneの導入効果を最大限に引き出すためには、いくつかの重要なポイントがあります。

  • 1. 明確な目標設定と課題定義:
    • まず「なぜ導入するのか」を明確にすることが不可欠です。具体的にどのような問題を解決したいのか、どのような測定可能な成果を目指すのか。曖昧な目標は、焦点の定まらない導入につながりかねません 。  
  • 2. スモールスタートと段階的展開:
    • 最初から全てを一度に変革しようとするのではなく、影響が大きく比較的シンプルなアプリケーションから着手することをお勧めします。初期段階での学びを活かし、徐々に範囲を拡大していくことで、勢いをつけながら調整も可能になります 。  
  • 3. エンドユーザーの積極的な参加と継続的なフィードバック:
    • 実際にkintoneアプリを使用する担当者を設計・テスト段階から巻き込むことが極めて重要です。彼らの賛同とフィードバックが、導入の成功とアプリが実際のニーズを満たすための鍵となります 。  
  • 4. 連携機能とプラグインの戦略的活用:
    • kintoneの能力は、他のシステム(例:freee 、マネーフォワード )との連携やプラグイン(例:トヨクモ製品群 、krewData )を活用することで大幅に拡張できます。これにより、より包括的なソリューション構築が可能になります。  
  • 5. 必要に応じた導入支援パートナーの活用:
    • kintoneはユーザーフレンドリーですが、複雑なプロジェクトや社内に専門知識が不足している場合は、経験豊富なkintoneパートナーによる初期設定、カスタマイズ、トレーニング、継続的なサポート(「伴走支援」)が大きな助けとなります 。
      • 例えば、ペパコミ株式会社は、YouTubeでの情報発信をきっかけに、特に建設・不動産業界に強みを持ち、徹底したヒアリング、現場目線での構築、そして導入後の内製化支援まで行う伴走支援で評価されています 。  

Table 2: kintone導入準備チェックリスト

No.チェック項目
1解決したい具体的な業務課題は明確ですか?
2導入によって達成したい目標(定量的・定性的)は設定されていますか?
3関連する業務プロセスの現状は把握・整理されていますか?
4どの部門・誰が主に利用しますか? 利用者の巻き込みは計画されていますか?
5スモールスタートで試せる業務はありますか?
6既存システムとの連携やデータ移行の必要性はありますか?
7導入・運用に関する予算は確保されていますか?
8社内にkintone推進担当者やチームを設置できますか?
9外部パートナーの支援が必要な場合、相談先は検討していますか?
10導入後の効果測定や改善サイクルの計画はありますか?

多くの活用事例を見た後、自社での導入をどこから始めるべきか迷うかもしれません。上記のチェックリストは、導入準備における重要なステップを構造的に検討するための一助となります。「成功のポイント」で述べた要素を、自社に問いかける具体的な質問に落とし込んでいます。これにより、より戦略的にkintone導入を進め、成功の可能性を高めることができます。単なる事例紹介に留まらない、実践的な価値をこの記事から持ち帰っていただければ幸いです。

kintoneはテクノロジーですが、その導入成功と持続的な価値創出は、「人的要素」に大きく依存します。目的の明確な伝達、初期段階からのユーザーエンゲージメント、継続的なサポート、そしてツールによって促進される反復的な改善を受け入れる文化の醸成が不可欠です。パートナーによる伴走支援 は、しばしばこの人的要素を育む上で重要な役割を果たします。例えば、株式会社リブリメイクの事例 では、パートナーであるペパコミによる「徹底したヒアリング」「現場目線」「育成支援」といった人間中心のアプローチが成功に貢献しています。また、NPO法人あすにはの成功 も、サイボウズ社員の協力やメンバーによる積極的なアプリ作成といった人的関与が背景にありました。ノーコードツールであっても、ユーザーがその目的を理解せず、設計に関与せず、自分たちにとってのメリットを実感できなければ、導入は頓挫してしまいます。したがって、kintoneの技術的な容易さは、強力なチェンジマネジメント、ユーザートレーニング、そして継続的なエンゲージメントによって補完されなければなりません。ツールはあくまで実現手段であり、変革を推進するのは「人」なのです。  

VI. まとめ~kintoneで自社の業務改善を実現しよう~

本記事でご紹介した数多くの「kintone 活用事例」が示すように、kintoneは多様な業種・業務において、企業の変革を力強く後押しする適応性の高いプラットフォームです。多くの組織が、kintoneを活用することで、業務効率の大幅な向上、コスト削減、情報共有の円滑化、そして新たな価値創造を実現しています。

読者の皆様には、ぜひ自社の抱える具体的な課題を振り返り、kintoneがどのように貢献できるかを考えていただきたいと思います。多くの場合、変革への道のりは、まず一つの重要な課題点を見つけることから始まります。

貴社に最適なkintone活用法を見つけるために、まずは無料導入相談へお気軽にお問い合わせください。

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